第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋近くの畑(ゆうかりんランド)ー

悠「いい天気だなぁぁぁ」

クロ「うるせぇよ!!」

悠「クロ」

クロ「なんだよ」

悠「おれの第一声に対してなんでもかんでも「うるさい」とか「やかましい」で片づけるのはどうかと思うんだ。もっと、幅広い語彙でツッコンでくれないとマンネリになる。テンドンは笑いの王道だけど、同じツッコミの繰り返しは……」

クロ「そういうのがうるさいってーの。なんでお前に淡々と漫才の指導されなきゃいけない」

悠「おれへのツッコミが完璧になったら福ちゃんとの漫才もやりやすいだろ」

クロ「別にあいつとも漫才しねーよ!」

ヒュッ……ザギン!!

悠「……鍬が飛んできた」

クロ「……突き刺さってるな」

幽香「喋ってるだけじゃなくて身体を動かしなさい。肥料にするわよ?」

福太郎「アレは外したん?当たらんかったん?」

幽香「わざと外したのよ」

悠「そういうけどな……この規模の畑はフツー機械いれるぞ、機械」

幽香「使えるのならどうぞ」

悠「有るなら乗れる」

福太郎「ないよ」

悠「残念……トラクター乗りまわしたかったのに」

クロ「お前何もんだよ」

悠「車運転できるならトラクターも運転できるぞ。」

福太郎「しかしまぁ、ここも立派になったなぁ」

メリー「でしょー」

幽香「手入れをしてくれていいのよ?」

福太郎「そういうんはクロに頼んでください」

クロ「なんでだよ!」

幽香「それはまぁ当然として」

クロ「当然でもねーよ」

泥田坊『あんのぉ……花だけでなくできれば麦もぉ』

幽香「却下。夏はひまわりしか認めないわ」

泥田坊『あぅぅ』

悠「夏はひまわり一択らしいぞ」

クロ「何でもいいっての……」

福太郎「ほんなら俺はまわりに柵でも建てよか」

幽香「あら、そんな才能があったの?」

福太郎「まさか、ホームセンターで柵かって打ちこむだけですて」

悠「お手軽だけどああいうのいいよな。ウチはそこまでするものがないから柵までは建ててないけど」

幽香「柵ねぇ……有刺鉄線とかは?」

福太郎「そこまでせーへんでもええとおもいます。」

悠「有刺鉄線ぐらいならニッパで切れるしな」

クロ「おまえは有刺鉄線を切断してはいらないといけないような場所に行くのか?」

悠「例えばの話しだよ。」

クロ「経験あったよう言い方に聞こえたけどな」

悠「信じる者は救われる」

クロ「おまえは信用できない」

悠「ひゃひゃひゃ」

クロ「気色悪い」

ひゅん……ドガッ!

幽香「次は当てるわよ~♪」

悠「シャベルは刺さったら死ぬだろうなぁ……」

クロ「いや、鍬でも十分に死ぬからな」

福太郎「頑張れ~」
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