第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー居酒屋:三日月ー

悠「はぁー……昼間から飲むビールって恐ろしいレベルで美味いな。殺人級だわさ」

福太郎「せやねー。」

凛「あらあら、随分とご機嫌なのね。」

悠「サウナでキュッと絞ってきましたから」

福太郎「俺は何度か干からびるかと思ったけどな」

悠「おれはまだ、あのまま一時間ぐらい行けたと思う」

福太郎「血管切れるで」

悠「そのときは福ちゃんに任せるよ」

福太郎「んー、無理。」

悠「えぇ、即答て……」

福太郎「多分やけど、俺ひとりで悠君を担ぐんは無理やわ」

悠「そこはもっと頑張ってくれ。」

凛「さてと、そろそろ昼間の暖簾は降ろしてこようかしら」

福太郎「んっ、そしたら…」

凛「あなた達はゆっくりしていっていいわよ。っていうより、ゆっくりしていく気なんでしょうけど、ね?」

悠「うぇひひ、さすがキリンさんおれの考えを分かってるんだから」

福太郎「すんまへん」

凛「ふふっ、いいのよ。」

福太郎「んっ、せやったらもうひとつワガママええですか?」

凛「なにかしら?」

福太郎「あと、二人ほど知り合い呼びたいんやけど」

凛「別にいいですよ。」

福太郎「どーも」

悠「クロとゆうかりん?」

福太郎「んっ、そろそろ昼過ぎとるけど、まだきっと土いじりしとるやろうし」

悠「元気だなぁ」

福太郎「ホンマになぁ。メール送ったし来るとしたら来るやろ」

悠「じゃあ、その間になんか頼もうかなぁ」

凛「いいハマチが入ってるけどどうかしら?」

悠「いいっすなぁ。ついでに赤身のいいところとかあります?」

凛「ふふっ、もちろん。」

福太郎「ここはええ魚つことりますよね。」

凛「毎朝取り寄せてるのよ。やさしい漁師さんが多くて直卸しで」

悠「キリンさんが美人だからだろうな」

凛「まぁ、お世辞でも嬉しいわ」

悠「お世辞って言うか本気なんだけどなぁ」

福太郎「さすが悠、色んな意味で遠慮がない」

悠「まぁ、本当のことを伝えても真実でしかないしな。美人に美人と伝えてもありのままの事実」

凛「コホン///。はい、お刺身どうぞ」

福太郎「わー、ハマチとマグロの他にも甘エビさんとかイカさんとかがおる」

悠「あらら、刺身の盛り合わせになってる」

凛「うふふっ」

福太郎「悠は口が上手いなぁ」

悠「いやいや、おれの口が上手いんじゃなくてキリンさんが商売上手なんだよ。これだけ刺身盛られたら……お酒をさらに頼まずにはいられないだろ?というわけでビールやめて日本酒で」

凛「はーい」

福太郎「俺は白飯と味噌汁お願いしますわ」

悠「あれ、酒いかないの?」

福太郎「刺身は……ご飯やろ」

悠「そういう拘り嫌いじゃないわ。おれもご飯とみそ汁お願いします」

凛「はーい」
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