第伍夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「夏日やなぁ」

幽香「ひまわりを植えましょう」

メリー「わーい!」

クロ「わーい、じゃねーし。早いだろ」

幽香「問題ないわ四月の後半なら、十分大丈夫よ。ここは温かいしね。」

メリー「だってさ!」

クロ「……」

幽香「ひまわりは簡単でいいわよぉ。土に植えるだけ」

クロ「は?」

幽香「土に植えるだけよ。あとは水を絶やさずやるのと、肥料を数度与えるだけ」

クロ「ふーん……って、野菜のときも似たようなこと言ってただろ!」

幽香「花だって野菜だってやることはいっしょよ?土に植えて、水をやって、肥料を与える。あとは愛情を注ぐことかしら」

クロ「……」

幽香「ということで、福太郎。今日は…」

福太郎「んー、ええよ。わかった、ほんならあとで…………。ふぅ、ん?どないかした?」

クロ「いつのまに電話してた」

福太郎「んっ、あぁ、なんやそっちで盛り上がっとたから……ほな、ちょっと出かけて来るわ」

クロ「いやいや、どこにだよ」

福太郎「サウナ」

すっきー『サウナっすか?』

福太郎「正確に言うとスチームサウナ」

クロ「いやいや、もっとちゃんと分かるように話せよ」

福太郎「悠君がサウナ行こーって電話かけてきてん。そんでそれに行って来るって話し」

幽香「行ってらっしゃい。クロは借りるわよ」

福太郎「どぞー」

クロ「私の意思は無視か!!」

すっきー『どんまいっす』




ー池袋:銭湯ー

福太郎「はぁ……」

悠「こぉぉぉ……」

福太郎「悠、なんや波紋が使えそうな呼吸になっとる」

悠「おー……はぁ~あっちぃ……。」

福太郎「なんで急にサウナ?」

悠「なんか入りたくなってさ。付き合ってもらって悪いな」

福太郎「いや、俺もサウナは嫌いやないから別にええんやけど……はぁー、ただ」

悠「ただ?」

福太郎「紋紋がはいっとるひと多いなぁ」

悠「ここは刺青お断りの風呂屋じゃないからな……まぁ、大丈夫ガン見しなければ絡まれないよ」

福太郎「サウナなのに底冷えする怖さがあるってどうなん?」

悠「ほんとになぁ……けど、ここが気に入ってるんだよなぁ」

福太郎「なんか思い入れでも?」

悠「牛乳が美味い」

福太郎「それは大事やなぁ……」

悠「だろぉ……。そういや、福ちゃん何にも用事なかったのか?」

福太郎「んー、ひまわり植えるって用事があったみたいやけど、クロが働くし」

悠「ひまわりかぁ……おれもそろそろ植えるかなぁ」

福太郎「悠も好きやなぁ……」

悠「些細な趣味だよぉ……」
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