第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

紫「はーい」

福太郎「……わっ。」

家に帰ってドアを開けると、目のまえ(超至近距離)に紫さんの上半身が現れた。口から心臓的な物が飛び出すかとおもった。

紫「あら、リアクション薄いわね。」

福太郎「いや、よう言われますけど内心めちゃめちゃ驚いてますから……今日はどないしたんです?」

紫「暇だから遊びに来ちゃった。他の人たちとはもう自己紹介したから」

福太郎「あ、さいですか。」

すっきー『紫さんて素敵っすね。隙間妖怪……くっ~私もなってみたーい』

福太郎「あれ、前は怖がってなかった?」

すっきー『よくよくお話したらいい人だったんですよ』

紫「ふふふ」

福太郎「ええ人……ねぇ」

紫「なにか?」

福太郎「んーいえいえ、それよか隙間女(すっきー)とはやっぱ別格なん?」

すっきー『いやー、全然違いますよ』

紫「隙間だけに次元が違うわ」

福太郎「さ、さいですか」

ようよう「しかし、兄さん、俺は聞いてなかったぜ。幻想郷なる物の話しなんて」

福太郎「いやー、黙っとったわけやないけど、説明するンもどう話したらええか分からんかっただけで」

紫「まぁまぁいいじゃないの、それよりなかなか好調みたいね。都市伝説調査」

福太郎「実感はないんですけど……こんな感じでええんですか?」

紫「上々ね。そろそろ一度幻想郷に顔出しに来ない?」

福太郎「んー……今ちょっとバイトが忙しいんで契約切れてまとまった休みが出来たらにしときますわ」

紫「それが良いかもね。私が居ればすぐに送り返してあげれるけど居なかったら同じように夜中にしか帰れないし、死んじゃったら戻れること出来ないし」

福太郎「わぁ……死ぬ可能性があること軽ぅいうてくれますね」

紫「人喰い妖怪だっているからね。ルーミアもいってたでしょ?」

福太郎「食べていいのかっていうてましたね…。あ、お茶かコーヒーでもいれましょか?」

紫「お構いなく、でもどちらといえばコーヒーが良いわね」

福太郎「はは…。」

紫「そうだわ。アナタ氷精となにか約束した?」

福太郎「氷精?……あ、チルノか。約束……あー、絵描いてくれいわれましたわ」

紫「結構、騒いでるわよあの子」

福太郎「えー……。」

紫「でも、妖精のいうことだから話し半分にしか聞いてない人らも多いけどね」

福太郎「それはそれで不憫やな」

紫「妖精は馬鹿なのよ。詰めが甘いとも言うわね」

福太郎「はっきりいうんですね」

紫「それでいいのよ。それが必要なことですからね」

福太郎「はぁ……なんや禅問答みたいや」

紫「あるがままであれってことよ」

福太郎「あれ、答え出されてしもた…。」

紫「ところで気になってたんだけど、この桐箱」

福太郎「それ預かりもんなんですわ」

紫「そう……。預かり物」

すっきー『なにかあるんすか?』

紫「いえ、別に何でも無いわ。コーヒーごちそうさまでした。」

福太郎「あ、おそまつさ……って、居らんし」

ようよう「神出鬼没の本物は違うな」
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