ｰ廃寺ｰ

クロ「おーい、集めてきたぞ。」

福太郎「意志を見ず、咲く羅の波」

クロ「石と水と桜の葉だろ。なんだその中二チックな一文は……」

パチュリー「ご苦労様。それじゃ始めましょうか」

ラム「何する気?」

パチュリー「呪の重ねがけは気にいらないのでしょ?」

ラム「気にいらないじゃなくて大問題だといってるんだけど」

パチュリー「だったら、呪の対象をかえてみることにしたの」

福太郎「ほほう、なるほど」

パチュリー「……あなた適当に頷いてるでしょ」

福太郎「んっ、バレとる」

クロ「そりゃバレるだろ……」

パチュリー「……続けるわよ。つまりは呪い移し。その死体にたまっている呪をこの石ころに移すの。そうしたら死体はキョンシーじゃなくなるし石にはいくら呪を重ねがけしても気にならないでしょ?」

ラム「確かにそうだけど……それってとっても難しいわよ?」

パチュリー「魔女には朝飯前よ。ということで、福太郎」

福太郎「んっ?」

パチュリー「そのキョンシーから髪の毛と爪と皮膚の一部を剥ぎとって」

福太郎「あの……なかなかグロイこといいますね」

パチュリー「あのね、爪一枚剥げとはいってないの。ちょっとでいいのよ。髪も皮膚も」

福太郎「ええの?」

ラム「そのくらいなら構わないわ。ただ、気をつけなさいよ」

福太郎「気をつけろとは?」

ラム「動かないとはいえ、爪とかで傷つくと毒が入るわよ」

福太郎「痛っ」

ラム「……」

クロ「……」

パチュリー「……」

福太郎「すません、指の先きってしもた」

クロ「野郎のドジっ子ってこんな感じなのかな」

福太郎「んー、俺の場合ドジっ子いうか……ただの不幸かな」

ラム「アンタ、キョンシーになるわよ!!」

福太郎「決定事項?」

パチュリー「あせらないのね」

福太郎「俺は人生を後悔するような生き方はしとらんので」

クロ「カッコいい風にいってるけど、お前が言うと何か……ダメだな」

ラム「ああもう、いいからとっとともち米で解毒しなさい!ほら、指突っ込む」

福太郎「んっ、熱、痛!?」
ジュッ…!

クロ「うわ……もち米が黒くなってる」

ラム「一応これ飲んどきなさい」

福太郎「なにこれ?」

ラム「もち米と蛇の肝をつぶして水に溶いたものまっずいけど体内に入った毒も解毒出来るから」

福太郎「飲みたないなぁ…」

ラム「どっかの誰かがドジらなきゃ飲まなくてもよかったのよ」

福太郎「はい、すんまへん。……まっず!これまっずい!」

パチュリー「……いつもこんな感じなの」

クロ「……わりとな」