第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「たーだいま」

ミツバ『福太郎さんお帰りなさいですぅ』

幼霊「よう、兄さんおかえり」

福太郎「ん、ただいま。すっきーは?」

幼霊「姉さんならテレビドラマ見てるぜ」

福太郎「すっきーはテレビ好きやなホンマ。あ、そういえば」

幼霊「どうしたんだ?」

福太郎「昨日は聞き流してしもたけど、冥姐さんってここの管理人さんのことやろ?」

幼霊「おうよ。」

福太郎「あったことあるん?」

幼霊「そりゃ当然よ。」

福太郎「へー……」

幼霊「なんだ、その反応は?」

福太郎「いや、俺あったことないねん」

幼霊「あぁ、そいつぁ……ま、色々あるんだわ。決して悪意があってそういうことしてる人じゃねェから安心しときな」

福太郎「うん、気にしては無いんよ。ただ、ちょっと気になっただけや。」

悠「何が気になったって?」

福太郎「……いつのまに」

悠「アレ、リアクション薄いなぁ。もっと「わー!」とか「ぎゃー!」的なのを期待したのに。」

福太郎「いや……驚き過ぎて逆に冷静になってしもた感じや」

悠「なるほどね。熱しやすく冷めやすいって奴だな」

福太郎「違うな」

悠「はい、冷静なツッコミ。そんなクールな福ちゃんにプレゼント」

福太郎「なにこの熊のぬいぐるみは?」

悠「クレーンゲームで取ったんだけどおれの趣味じゃないからあげる。ミツバの玩具にでもしたげて」

福太郎「はぁ…」

幼霊「お、中々いい熊じゃないか俺が貰うぜ」

悠「むっ……福ちゃん、そこに何かいるな」

福太郎「え、見えるん?」

悠「ハッキリとは見えないが薄ぼんやりと気配は感じる。」

幼霊「おい、兄ちゃんよ。この兄ちゃんはなんだ?」

福太郎「友達の小鳥遊悠君。霊感は無いんやけどすっきーに貫手を当てたり大妖怪の九尾の狐とかと知り合いだったりする一般人」

幼霊「それは既に一般の括りじゃねーぜ?」

福太郎「それは置いといて……なんでうっすら分かるんやろか」

幼霊「自分で言うのもアレだが俺は其処らの低級霊とは違うからな……もうちょい気合入れれば声くらいは…」

悠「この辺りかな……空中に浮いてる小さいナニかが」

もにゅもにゅ
幼霊「おい、福の兄さんよ。この兄さんに見えないながらに頭を揉むのはやめるようにいってくんな。」

福太郎「えーと、悠。それ赤ん坊の幽霊なんやけど……」

悠「赤子の霊か……。赤子…幼子………ようようだな。」

ずずず…
ようよう「おい、それってもしかして俺の事かい?」

悠「お……おー、輪郭が見えて声が聞こえるようになった。」

福太郎「へぇ、ようようやるなぁ」

ようよう「ようようで決まりなんだな。決まっちまったんだなこの流れは」

すっきー『あたしの時もそんな感じでしたから早々に受け入れた方が良いですよ。』

悠「すっきーは?すっきーは見えるようにならないのか?そししたら反応が見れるのに!!」

わしゃわしゃわしゃ!

すっきー『あたしにはこれが限界です。つていうか、その手の動きが嫌過ぎる!!』

福太郎「これが限界なんやって」

悠「ちぇー」

福太郎「じゃあ、情報ひとつ」

悠「ん?」

福太郎「すっきー母乳はでえへんかったよ」

すっきー『コラァーー///!!』
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