第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

パチュリー「ねぇ」

福太郎「はい?」

パチュリー「けいたいでんわってなに?」

福太郎「んーと、離れた場所の人と話すことが出来る道具です」

パチュリー「通信機みたいなもの?」

福太郎「それの誰でも持てるお手軽版かな」

パチュリー「なるほど」

福太郎「推理小説おもろい?」

パチュリー「えぇ。ただ分からない単語が多いわね。RVとかメルセデスとか」

福太郎「それはどっちも車のことやわ……あ、せやったらこれでどう?」

パチュリー「これはなに?板?」

福太郎「電子辞書。」

パチュリー「これが辞書?」

福太郎「んっ、これで例えば「携帯電話」って打ちこんだら」

【携帯電話(けいたいでんわ)は、有線電話系通信事業者による電話機を携帯する形の移動体通信システム、電気通信役務。端末を携帯あるいはケータイと略称することがある。】

パチュリー「むきゅ、解説されるのね」

福太郎「そうそう。分からん単語があったらこれで調べながら読んだらええかなって」

パチュリー「いいものがあるわね。助かるわ」

福太郎「いえいえ、大人しく本読んでくれとるし今までのひとらに比べたら全然楽ですわ」

パチュリー「レミィはワガママだからね。そこが可愛いのだけど」

クロ「カワイイ……か?」

福太郎「さて、悪いんやけど先休ませてもろてええかな」

パチュリー「どうぞ」

福太郎「ほんなら失礼して……あ、紅茶とかいったら冷蔵庫にはいっとるんで適当にしてつかぁさい」

パチュリー「そうさせてもらうわ」


~一夜明けて~

リリリリ!
福太郎「んー……はぁ、夜の仕事はやっぱり朝がつらぁなるな」

パチュリー「おはよう」

福太郎「おはよさん……って、あれ?」

パチュリー「なに?」

福太郎「寝とらんの?」

パチュリー「寝てないわ」

福太郎「平気なん?顔色悪いし」

パチュリー「平気よ。顔色が悪いのはデフォルトだし」

福太郎「えぇ……」

パチュリー「もともと魔女は睡眠も食事も不要なの。」

福太郎「紅茶飲んでましたやん」

パチュリー「嗜好品みたいなものよ。それに不要といっても欲しい時があるでしょ?その場合は水を飲むより味がある物がいいじゃない」

福太郎「んー、せやね。」

パチュリー「それにせっかくだからこちらの書物には時間がある限り目を通しておきたいのよ」

福太郎「どのくらい読みはったん?」

パチュリー「本棚の物は全部目を通したわ。」

福太郎「あらまぁ……」

パチュリー「で、電子辞書じゃなくて普通の辞書を見つけたからそれを読んでたの」

福太郎「勉強家やな」

パチュリー「ただ本の虫なだけよ」

福太郎「ドアノブカバーやなくてブックカバー……」

パチュリー「なんかいった?」

福太郎「いえ、なんにも。」
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