第肆夜『福太郎の不思議な日常』
ー無縁仏共同墓地ー
ラム「ふぅ……。着いた着いた」
福太郎「夜の墓……怖っ。」
ラム「全然そういう風には見えないけど」
福太郎「いやー、怖いですよ。深夜にしかも明りもぽつぽつの墓って怖い要素しかないですやん」
ラム「まぁ……いいわ。ええと、あ、居た」
若い男「ご苦労様です。」
ラム「いえ。仕事ですから。キョンシーはどうしましょうか?」
キョンシーA「……」
若い男「すぐに埋葬しますので……おいっ。」
若い男が闇に声をかけると笠と蓑をかぶった随分と古風というか年代を感じる男たちが数人現れキョンシーを担いで墓地の奥へと消えていった。
福太郎「……」
若い男「ご安心を、本当にすぐに埋葬するだけなので。彼らも害がある物ではありません。山童という河童の一種です。よく働くし人間との友好関係も深いです」
福太郎「はぁ……」
ラム「それじゃ、私たちは……」
若い男「実は頼みたいことがあるのですが」
ラム「……はぁ~、なに?」
若い男「こっちに来てください」
ラムは深いため息をついて若い男に着いていく。福太郎もその後に続いた。
しばらく歩いていくと妙なものが見えてきた。
ラム「げっ……」
福太郎「どないしたんです?っていうかアレは?」
若い男「棺桶です」
福太郎「棺…桶?」
言われてみれば人間がすっぽりと入れる大きさの物だが棺桶というにはとても大きく分厚い作りだ。
若い男「土葬ようのものですからね。本来はこのまま土に埋めるのです。」
福太郎「はぁ……せやけど、これ一度埋めてあったんを掘り出した感じがするんは気のせいですか?」
若い男「正解です」
ラム「ちょっと、福太郎。蓋を開けて」
福太郎「えー……」
ラム「良いから早く。ズラす程度でいいから」
福太郎「はぁ……よいしょっと」
ズズッ…と木製とはいえ重い棺の蓋をズラすと中には老人のご遺体が入っていた。しかし、腐ってはいない。
ラム「これは……キョンシー化してるじゃない!なんですぐに焼かないの!!」
若い男「このご遺体の家族の方から父は生前に火が苦手だから火葬はやめてくれとおっしゃられましてね……。そこで、ラム道士。ぜひ、アナタのもとで預かっていただきたいとご連絡しました」
ラム「イヤよ!」
若い男「キョンシーとして蘇り、襖係として駆り出されるのと今預かっていただくのとどちらがいいでしょうか?」
ラム「っ……このっ!」
福太郎「チンチンさん、落ち着いて」
ラム「うるさいっ!チンチン言うな!……なんにしても拒否件はないのね」
若い男「申し訳ありません。必要なもの、経費、報酬はちゃんと用意しますので」
ラム「……ついでにもうひとつ。ちょっと耳貸して」
若い男「はい?」
ラム「このっ!」
自分と同じ高さに身を屈めた男の横っ面にラムは拳を叩きこんだ。
若い男「ぐっ……!?」
ラム「ふぅ、少し気が済んだわ。さっさと棺を廃寺に運びなさい」
若い男「はい、了解です」
福太郎「……男前~」
ラム「アンタもぶん殴るわよ」
ラム「ふぅ……。着いた着いた」
福太郎「夜の墓……怖っ。」
ラム「全然そういう風には見えないけど」
福太郎「いやー、怖いですよ。深夜にしかも明りもぽつぽつの墓って怖い要素しかないですやん」
ラム「まぁ……いいわ。ええと、あ、居た」
若い男「ご苦労様です。」
ラム「いえ。仕事ですから。キョンシーはどうしましょうか?」
キョンシーA「……」
若い男「すぐに埋葬しますので……おいっ。」
若い男が闇に声をかけると笠と蓑をかぶった随分と古風というか年代を感じる男たちが数人現れキョンシーを担いで墓地の奥へと消えていった。
福太郎「……」
若い男「ご安心を、本当にすぐに埋葬するだけなので。彼らも害がある物ではありません。山童という河童の一種です。よく働くし人間との友好関係も深いです」
福太郎「はぁ……」
ラム「それじゃ、私たちは……」
若い男「実は頼みたいことがあるのですが」
ラム「……はぁ~、なに?」
若い男「こっちに来てください」
ラムは深いため息をついて若い男に着いていく。福太郎もその後に続いた。
しばらく歩いていくと妙なものが見えてきた。
ラム「げっ……」
福太郎「どないしたんです?っていうかアレは?」
若い男「棺桶です」
福太郎「棺…桶?」
言われてみれば人間がすっぽりと入れる大きさの物だが棺桶というにはとても大きく分厚い作りだ。
若い男「土葬ようのものですからね。本来はこのまま土に埋めるのです。」
福太郎「はぁ……せやけど、これ一度埋めてあったんを掘り出した感じがするんは気のせいですか?」
若い男「正解です」
ラム「ちょっと、福太郎。蓋を開けて」
福太郎「えー……」
ラム「良いから早く。ズラす程度でいいから」
福太郎「はぁ……よいしょっと」
ズズッ…と木製とはいえ重い棺の蓋をズラすと中には老人のご遺体が入っていた。しかし、腐ってはいない。
ラム「これは……キョンシー化してるじゃない!なんですぐに焼かないの!!」
若い男「このご遺体の家族の方から父は生前に火が苦手だから火葬はやめてくれとおっしゃられましてね……。そこで、ラム道士。ぜひ、アナタのもとで預かっていただきたいとご連絡しました」
ラム「イヤよ!」
若い男「キョンシーとして蘇り、襖係として駆り出されるのと今預かっていただくのとどちらがいいでしょうか?」
ラム「っ……このっ!」
福太郎「チンチンさん、落ち着いて」
ラム「うるさいっ!チンチン言うな!……なんにしても拒否件はないのね」
若い男「申し訳ありません。必要なもの、経費、報酬はちゃんと用意しますので」
ラム「……ついでにもうひとつ。ちょっと耳貸して」
若い男「はい?」
ラム「このっ!」
自分と同じ高さに身を屈めた男の横っ面にラムは拳を叩きこんだ。
若い男「ぐっ……!?」
ラム「ふぅ、少し気が済んだわ。さっさと棺を廃寺に運びなさい」
若い男「はい、了解です」
福太郎「……男前~」
ラム「アンタもぶん殴るわよ」