第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー廃寺ー

福太郎「ばんわー」

ラム「いらっしゃい」

福太郎「どこまで行くんです?」

ラム「えーし、一体は埋葬。一体はある人に届けるらしいから。まずは……届ける方に行きましょう近いし。はいこれ」

福太郎「箒とチリトリ?」

ラム「そっ、私が撒いていく紙銭をかき集めていってね。」

福太郎「んっ、手伝いってそういうことですか……」

ラム「ついでに私の話し相手。」

福太郎「はぁ、まぁええですけど」

ラム「じゃ、行くわよ。はい、こっち来て」
シャン!

キョンシーA『……』
トットッ

キョンシーB『……』
トットッ



ー夢見長屋近くー

福太郎「しかし、深夜言うても人とかとすれ違ったりせーへんのですか?」

ラム「人の気配があったら全力で隠れるのよ」

福太郎「……泥棒みたいやな」

ラム「うっさい。こっちも必死なのよ。キョンシーが見つかるのも、私が職質されるのも嫌だし」

福太郎「全力やなぁ。」

ラム「早くやめたいわ……。」

福太郎「天職やないんですか?」

ラム「なにが天職なもんですか!こんな夜の仕事」

福太郎「夜の蝶もビックリな夜の仕事やな」

ラム「なにそういうところ行き慣れてるの?」

福太郎「ラムさんはそういうところでモテそうやね。」

ラム「どういう意味よ」

福太郎「小さい子とかがいきなりお客出来たらギャップで大喜びしそうやないですか?」

ラム「ちょっとこっち来い。蹴るから」

福太郎「嫌です」

ラム「がるるるっ!」

福太郎「ちゃんと前見て進まんと転んで痛い痛いになりますよ」

ラム「後で覚えとけや……」

福太郎「ドスの利いた声?!」



ー廃校ー

ラム「はいっ、ここで止まって」

福太郎「ここは……」

「オー、来ましたネ。お待ちしていましたデース」

ラム「サインをお願いします」

メフィスト「ハイハーイ。メフィスト・レスっと……」

ラム「では、一応注意事項ですが。このキョンシーを……」

メフィスト「さーて、早速改造タイムデース。フフッフンフーン♪」

ポンッ!

福太郎「消えた……」

ラム「……まだ説明の途中なのに、もういい。次行くわよ次!」

福太郎「えー、今起こったことをありのままに解説せんでええの?」

ラム「ああいう得体の知れないのには関わらないのが一番よ」

福太郎「その得体のしれへんのにキョンシー預けてええのん?」

ラム「仕方ないじゃない。あの人(?)がキョンシーを買ったんだから」

福太郎「はぁ……。」
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