第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「……」

幼霊「よく見てろ」

すっきー『こくこく』

幼霊「秘技穴黒いの術」

赤ん坊の眼球と口が真っ黒く染まる。

福太郎「……」

幼霊「体液黒いの術」

真っ黒い眼球と口から同じように真っ黒な体液がすじとなり垂れ落ちる。

福太郎「……」

幼霊「シワ増えるの術」

目じりやひたい、肌に無数の不気味な皺が寄って、どういう原理か下からライトアップまでされた。

福太郎「……」

幼霊「基本技としてこんくれーは押えときたいところだな。あとは瞳孔白いの術とか」

すっきー『おぉ~なるほど。ほぉ~』

福太郎「あの~、御話し中なんやけど……君、下の住人やろ?帰らへんの?」

コネコネ…コネコネ…
幼霊「コラコラ頭を揉むんじゃねーよ。赤子は頭蓋骨がやわらかいんだからよ。脳が変形すっだろーが」

※絶対に真似しないよーに!

すっきー『まあまあ、いいじゃないですか、あたしも離し相手が嬉しいし。おともだち~』

すっきーは幼霊を抱いて頭を撫でる。

福太郎「友達いうか親子やな」

すっきー『え~やだ~そう見えますー?えへへー、おっぱい飲む?なんちてー』

福太郎「あ、じゃあ遠慮うなく」

ノリというか真夜中のテンションでちゅ~っといただかせてもらいました。

すっきー『何やってくれてんですかーーーっっ!!?///』

福太郎「出もしないのに飲めとは……こいてくれたもんやな…」

すっきー『アンタにいったんじゃねぇーー!!』

幼霊「何か?「アンタにゃミルクがお似合いさ」そう言いてぇワケかい姉さん?あぁ?」

すっきー『こっちもよくわかんねーキレ方してるし!』

幼霊「それにしても俺たちにこんだけ触りまくれるたぁ珍しい体質だな兄さん」

福太郎「元々は霊感なんか無いはずやけどなぁ。なんや知らんけど最近になってこうなってきたみたいや。それにしても自分、めっちゃ触り心地ええなぁ」

もみもみもみもみ
もみもみもみもみ
幼霊「だから頭を揉むな頭を、脳が圧縮されるたびに不思議な生き物が見えンだよ」

※くどいですがマネしないように!

すっきー『もう強いとかのレベルじゃないですよ~。おかげで突かれるは引きずり出されるは……その、す、吸われるは……。』

福太郎「突いたんと引きづり出したんは俺とちゃうで」

幼霊「まあ兄さんがここに住み続けてるおかげで幽霊部屋の噂も静まってマンションの管理人の冥ねぇさんも助かってるそうだがよ。あんま姉さんいじめるもんじゃねーぜ……そもそもスキマの姉さんがいなけりゃ兄さんも破格でこの部屋を借りられなかったわけだろ?そんで姉さんも離し相手が出来たんだし八方丸く収まってるってぇとこじゃねぇか?例え此岸と彼岸の住人同士であってもこうして語り合い触れあえる仲……奇妙な縁もあるもんだが、この世知辛い世の中だ…だからこそこういった実のある出会いを大切にしていかなきゃあな……そうは思わねぇかい兄さん」

幼霊はおしゃぶりを人差し指と親指で口に当てて、さっと離すと、口からエクトプラズムが吐き出された。

すっきー『か、貫禄あるっす……。』

福太郎「自分ホンマいくつなん?」

モニモニョ~ン!
モニモニ、モニモニ
幼霊「おいおい…いくら俺が失禁も脱糞もしねぇ。可愛さだけを抽出した理想の乳幼児だからっておめぇ可愛がりすぎだっつーの」

どうやらこの幼霊もここに住み着くようだ。それにしても良い手触り、コラーゲンぷりぷりなのかもしれない。
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