第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「そんでクロ、この紙からなんの匂いがするって?」

クロ「死臭だ。死臭。それも死んでから結構時間が経ってる死臭」

福太郎「んー」

すっきー『なんすかそれ。死体にでも張り付いてたとかっすか?』

福太郎「もしくは死体を包んどったとか」

クロ「どっちにしろおかしいだろ。紙きれを張ってたり、紙きれに包まれてるって」

福太郎「んー……メリーちゃんどうおもう?」

メリー「えっ?私?えーと……わかんない」

福太郎「せやね」

クロ「なんで聞いた……。」

福太郎「ということで分からんなら実際に見にいってみようと思います」

すっきー『福太郎さんてときどき恐ろしく行動的っすよね』

クロ「ホントにな」

福太郎「んっ、そんでひとりやったら怖いしクロ、着いてきてな」

クロ「ひとりで行け」

福太郎「んー、わかった」

すっきー『えっ?怖いって言ったのにすぐに引きさがるんすね』

福太郎「まぁ、俺が気になっただけやし。巻き込むンも悪いかなって」

メリー「じゃあ、私がついていくわ!」

福太郎「んー、メリーちゃん起きとれる?」

メリー「起こして」

クロ「初めっから他力本願だな……。いいよ、私がついてけばいいんだろ」

福太郎「ツンデレ~」

クロ「チッ」

福太郎「舌打ちされたわ」

すっきー『カルシウム不足っすかね。』

福太郎「今度犬ガム買ってくるな」

クロ「いらねぇよ!!」

メリー「アレって骨?」

福太郎「いや、なんや豚の内臓か何かを干したもんらしいでずーっと噛んみょったらぶよぶよになるとか」

クロ「じゃあカルシウムねぇだろ!」

福太郎「顎の筋肉はつくんちゃうかな。よう、噛んでオエって吐き出しとる犬見るけど」

クロ「いらねぇから買ってくんなよ」

福太郎「……んっ」

クロ「ちゃんと返事しろ!!」





ー夢見長屋近くの畑ー

福太郎「ここって電灯も少ないし無縁墓地も近いし普通に怖いな」

クロ「人の気配もなけりゃ特に目印になる物もねーしな」

福太郎「こうしとるんもヒマやな」

メリー「ふぁぁ……眠らないようにシリトリでもする?」

クロ「寒いし眠くならねぇよ」

福太郎「じゃあ、メリーちゃんから」

クロ「するのかよ!」

メリー「ごはん!」

福太郎「ふりかけ!」

クロ「どういうルールだよ!シリトリになってねーし!なにより、ごは「ん」っで積んでるだろ!」

福太郎「クロ……」

クロ「なんだよ」

福太郎「元気やなぁ」

クロ「うるせぇよ!!」

福太郎「まぁまぁ、メリーちゃんも眠たあて寝ぼけとるんやって」

メリー「コクリコクリ」

クロ「何で連れてきたんだよホント……」
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