第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「紅茶言われたけん普通のペッとボトルのやつ買うて来たんやけど怒られるかな」

クロ「それっぽいカップに入れてだしゃいいんじゃね?」

福太郎「ウチにそんな洒落たもんがあるとお思いで?」

クロ「……確かにみたことねぇな」

福太郎「開き直ってジョッキに並々注いで出してみよか」

クロ「……笑いは取れるかな」

レミリア「アンタらね、そういう相談は本人が聞こえないところでやりなさいよ」

福太郎「最近のトレンドは聞こえる内緒話なんで」

レミリア「……そうなの?」

福太郎「……うん」

レミリア「アナタの目、嘘をついてる目だわ」

福太郎「これが吸血鬼の能力?!」

レミリア「違うわよ!吸血鬼舐めんな!」

福太郎「ということでジョッキに並々注いだ紅茶です」

ドンッ!
レミリア「本当にジョッキに注いで出すな!寝起きになんでこんなに呑まなきゃいけないのよ!」

福太郎「血のように紅い紅茶でございます」

レミリア「例え血だったとしてもジョッキに注がれたものを飲みたがるか!吸血鬼は居酒屋の中年オヤジじゃないのよ!」

メリー「おじさんは血呑まないよ?」

レミリア「分かってるわよ!比喩よ比喩!」

福太郎「吸血鬼はツッコミ属性なんやな」

レミリア「アンタらが全力でふざけてるからでしょがっ!!」

福太郎「そう思いますゃん?」

レミリア「なによ、違うって言うの?」

福太郎「わりと真面目なんやで。おふざけ半分」

レミリア「なお性質が悪いわ!」

メリー「なんかご主人様、今日絶好調ね」

クロ「絶好調っていうのかアレ?」

福太郎「ほんなら、ただのマグカップでええかな?」

レミリア「カップあるならカップではなっから出しなさいよ!なんなのよジョッキは!」

福太郎「ジョッキは……ジョッキですやん」

レミリア「あ、アナタねぇ。私が手出さないと思ってない?」

福太郎「お茶菓子には柿の種でええ?」

レミリア「せめて甘いものにしなさいよ!なんでそんなおっさん系統の物を推してくるのよ!」

福太郎「あははは」

メリー「やっぱり、絶好調なの」

クロ「だから、どこがだよ……」

レミリア「ふー……んっ、まぁまぁね。」

福太郎「せやろー」

レミリア「なんで自信たっぷりなのよ」

福太郎「いやー、深い意味はないんやけど。吸血鬼って紅茶好きなん?」

レミリア「私は紅茶が好きね」

福太郎「ブラックの珈琲とかもあるけど」

レミリア「紅茶が好きッていってんでしょ!」

福太郎「にがーいお茶とかは?」

レミリア「喧嘩売ってるのね?そうなのね?」

福太郎「?」

レミリア「きょろきょろすんな!お前だ!お前」

福太郎「小前田さん?」

レミリア「きぃー!」

福太郎「悠くんが確実にひとをきぃーってさせる言うよったけどホンマやな」

クロ「試すなよ…。」
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