第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

すっきー『そういえばこのお部屋の家賃てくららなんです?』

福太郎「安いで1LDKで一万五千円」

すっきー『安っ……。』

福太郎「まぁ、隙間に幽霊着きやからなぁ」

すっきー『部屋の備品みたいな言い方…』

福太郎「家具とかも結構そのまんまあったし……冷蔵庫は拾いもんやし。」

すっきー『自分の荷物は?!』

福太郎「んー……服と絵描き道具だけやね。あとはミツバの物とか。」

すっきー『なんか凄いっスね…。』

福太郎「そかな。」

ミツバ『あの~』

福太郎「ん?どないしてん?」

ミツバ『すっきーさんはどういう暮らししてたんですか?』

福太郎「すっきーはどないなん?ここでずっと居ったんか?」

すっきー『あたしは気がついたらここの隙間に憑いてましたね。人が居る時はもちろんずーっと見てましたけど』

福太郎「それが仕事みたいなもんなんやろ?」

すっきー『そうっス。けど、なかには数年気がつかない人も居れば、まるで気がつかずに出ていった人も居ました。そんな中にまさか、引っこ抜いたり貫手をかましてくる人が現れるなんて思いもしませんでしたけど……』

福太郎「痛いんは初体験やろね」

すっきー『……』

ミツバ『じゃあ、ここでの暮らしは長いんですねぇ』

福太郎「ここでの暮らしは長いんやな?」

すっきー『長いといえば長いかと……でも時間の流れは良くわからなかったりします。』

福太郎「せやったら他の住人らとはあったことは?」

すっきー『基本この部屋から出れませんからあったことは無いですが……いつだったか女の子が下の階に住んでいたのは覚えてます。ポニーテールの女学生の子でした』

福太郎「下の階か…」

すっきー『どうかしましたか?』

福太郎「いや、ここに越してくる前にもともとここのマンションは怪異が起こるとは聞いとったんやけど。」

すっきー『あ、もしかして……あたしのことっすか!!』

福太郎「いや、ちょっとちゃうんや。下の階のどこかの部屋で赤ん坊の霊が現れて今だに借り手がつかんとか……」

すっきー『へー、初耳っス』

福太郎「それはこんな感じみたいや」

誰も居ないはずの部屋の隅からペタペタと音がする。みると小さな手の跡が壁についていたりする。そしてあるはずのないミルクの匂い……







そんな話をした真夜中、息苦しさに目を覚ました。胸が重い、何かのっている?目を開けると……

幼霊「あうーー!」

福太郎「わーー!」

バシン!
眼球と口の中が真っ黒な赤ん坊が乗っていて思わずビンタしてしまった。

幼霊「ばびゅっ!?」

すっきー『ちょ!!何してるんスか!霊とはいえ赤ん坊っすよ!暴力はNG!!鬼畜は悠さんだけでいいっす!!』

福太郎「いゃ、今のは反射的にやってしもただけやねん。でもなんかぷるぷるしてすっごい叩き心地は良かったなぁ…」

すっきー『感想なんか聞いてねーー!』

幼霊「まったくだ…。この業界長ぇがこんな仕打ちは初めてだぜ。こっちだって聞く耳持ってねーわけじゃねーんだまずは話し合いからだろ?ん?ぺっ……。とはいえだ……兄さんがあくまで拳で語りあいてぇなら俺も容赦はしねーコラーゲンパンチ喰らわすぞコラァ!」

すっきー『えぇ~……』





~都市伝説~

『赤子の幽霊』
夜中、息苦しさに意識を戻した。おかしい、体が動かない。金縛りというやつだろうか?それに胸のあたりに圧迫感があり、苦しい……。
なんとか目を開けると、暗い目の赤ん坊が私の上に覆いかぶさり、じっと見下ろしていた。
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