第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

揺光【中国の拷問でな。竹筒を目に押し当てるというものがあるのじゃ。押し当てた竹筒をぽんと叩くのな鼓みたいに。そうすると目玉がぽんっと飛び出す】

悠「……」

福太郎「……」

クロ「……」

メリー「……」

すっきー『……』

揺光【まあ、ただの想い出話なんじゃが】

クロ「待てや!」

揺光【なんじゃい】

クロ「想い出話がおかし過ぎるだろ!」

揺光【そうかのう?】

悠「ヤンチャしたって話しととらえたら…」

福太郎「ヤンチャで目玉ポン?」

悠「おれもヤンチャで川に人を叩き落としたりしたし」

メリー「怖い人ばっかり」

福太郎「……夜な夜な電話かけて来て刃物持って近づいて最後は刺そうとする」

メリー「もー!いーわーなーいーでー!」

すっきー『可愛らしく恥ずかしがってるっスけど、やってた大概ホラーっすよね』

クロ「まぁ、悪霊だしな。元は」

揺光【可愛いではないか】

悠「お前のやって来た悪行に比べたら可愛いだろうなそりゃ」

揺光【こんこん♪】

福太郎「せやけど、よう考えたら揺光さんは死肉とか人間とか食べたことあるやろうにやめれるもんなんです?」

クロ「さらっとグロいこと聞くなよお前」

揺光【それは単純じゃ死肉や生肉より調理された肉のが美味い】

福太郎「んー、なるほど」

揺光【昔は坊主の内臓を喰えば寿命が延びたといわれていたが、迷信じゃったしな】

悠「いや、お前は相当生きてるようだけど?」

揺光【そりゃ、妾は特別じゃからなこんこん♪】
わさわさわさわさわさ

福太郎「わかったんで、九尾をわさらせてアピールせんでええですよ」

悠「クロもいつかは九尾の犬になるのかな」

クロ「犬じゃねーよ!」

福太郎「んっ、そいうえば揺光さん、聞いてええですか?」

揺光【なんじゃ?妾の「せくしーなすりーさいず」かえ?】

福太郎「それはそれで気になりますけど、例えば猫又やったら尻尾が二本。それで妖怪。せやけど、クロは妖怪やけど尻尾は一本。どっちが格上になるんです?」

揺光【ふむ、それはなかなか難しい質問じゃな。妖獣といえど全部が多重尾持ちになるものではない。妾の知る限り単純に格が強いというのならば神獣が一番じゃな。】

クロ「ふふん」

悠「どうした?おしっこか?」

クロ「違う!なんで、胸張ってトイレ宣言しようとしてんだよ私は!」

揺光【大神というだけにそこのメス犬も神獣の端くれであるから格は高い。まぁ、本当に飾りだけではあるがな】

クロ「う、うっせえ!」

揺光【だいたい神たるものの一番卑怯臭い能力は結界にある。】

悠「お前の前には結界なんてバター切るよりたやすいだろ」

揺光【こんこん♪】

クロ「否定しろよ……。」

福太郎「生きるチートってホンマにおるんやもんな」

揺光【否否、妾も天照につけ狙われた時は危うかったぞ】

悠「日本の最高神に狙われてたって何したんだよ……」
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