第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「ちぇきーす。」

福太郎「いらっしゃー……ん?」

悠「ん?」

福太郎「ん、いや……なんや悠からめっちゃベリーの香りが」

悠「あー、やっぱり薫るか」

クロ「かなりな。不思議と人工的じゃないから嫌な感じはしねぇけど」

悠「親戚の姉さんからもらった寝ぐせ直し……じゃなくてミストスプレーってのを髪につけてるんだよ」

りんね「へぇ、いい香りね。」

悠「あら、りんね先生も来てたのか」

りんね「ええ。それより、ちょっと髪を触らせてもらっていい?」

悠「髪自体に変化がある訳じゃないんだけど」

りんね「じゃあ、嗅がせて」

悠「おれもたまに人に言うが、人から言われるとなんかゾッとするな」

福太郎「それは知らんけど」

悠「え?そう?クロの耳とかかぎたくない?」

クロ「変態は出ていけ」

福太郎「……ちょっとあるかな」

クロ「お前もかよ!」

りんね「あ、ほんとにこれいい香りね。どこでうってるの?」

悠「試供品なんでまだ販売はしてないんだよな。」

りんね「そうなの……残念だわ。」

悠「まぁ、ここにその試供品があるんだけどな」

福太郎「なんで?」

悠「いや、なんかこんなことも有ろうかと思って。って、ことでどうぞ」

りんね「ホントにもらっていいの?」

悠「何だかんだで色々と喰わせてもらってますからね。その礼ですよ。りんね先生がつけてたら宣伝にもなるだろうし」

りんね「ええぇ~そんなに私って魅力ある?」

福太郎「(危なくて)目が離せんて意味でなら」

悠「(あまりの惨状に)釘付けになるって意味なら」

りんね「何故かしら少し引っかかるわ。褒めてくれてるのよね?」

クロ「普通に考えて褒められてるわけ無いだろ」

福太郎「コラ、そんないいかたせんの。オブラートに包み」

りんね「包む前の内容を知っちゃったんだけど」

悠「ホイル包み焼きの中身を知っちゃってから出された気分か」

福太郎「分かりにくい例えやなぁ。」

クロ「そもそもホイル焼き何か大抵なにが包まれてるか予想出来るだろ」

悠「サーモンとキノコのホイル包み焼きが出てきたときなんかおれはどれだけショックだっか……」

りんね「あら、美味しそうじゃない」

悠「おれはキノコ食えないの!アレルギーなの!」

福太郎「ほんならキノコソースとかもショックなんやな」

悠「完全にペーストになってて匂いが完全に消えてても口に入れたら多分そのひと口で喰うのやめる」

クロ「食えるには食えるんじゃねぇか」

悠「いや、アレルギーだから無理」

福太郎「ホンマは?」

悠「タダ純粋に嫌い」

クロ「その面で好き嫌いしてんじゃねーよ」

悠「顔は関係ないでしょ!!」

福太郎「まぁ、人間嫌いなもんひとつやふたつ……」

悠「三つや四つや五つや六つ」

クロ「多いんだよ」

りんね「私もナマコとかが苦手かなぁ」

福太郎「俺はたまに肉とかモツとかがダメんなりますけどね……。」
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