第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

萃香「節分なんて嫌いだっ!!」

福太郎「……えぇー」

2月3日に鬼が来ました。

萃香「あのなぁー、あたしなぁー、せつぶんなぁー、きらいなんだぁー」

福太郎「そんな露骨に幼女なふりしても数百歳の鬼さんですやろ。」

萃香「数千年経ってたって鬼は節分嫌いなの!」

福太郎「今、さらっと「数千」いいましたで、このお嬢さん」

クロ「私に話し振るなよ。鬼なんだからマジか……ぐらいに捉えとけよ」

萃香「とりあえず呑もう!」

福太郎「いや、もう寝るところなんで」

クロ「ほんとだよ。電気消したばっかりだったのによ」

萃香「私が来たんだぞ!」

福太郎「わかっとるけど夜中やから寝ること優先してつかぁさい」

萃香「うぅっ、これだから節分は……」

福太郎「節分は関係ないって……とにかく寝てや」

萃香「なんだよぉーもぉー」

今日の酔い方は幼児退行と絡み酒らしい。それでも少しの間文句を言ったら納得したのか寝酒がまわったのか眠るのは誰よりも早かった。



一夜明けて……

福太郎「んー……はぁ……」

クロ「……」

福太郎「わっ……クロどないしてん。突っ立って」

クロ「寝てたらこの鬼に蹴られるは、角が当たるわ……寝てられなかったんだよ」

萃香「ぐぅーがぁー!」

福太郎「わぁ、凄い寝相」

クロ「軽く蹴ったけど起きやしねぇぞコイツ」

福太郎「蹴らんの蹴らんの……まぁ、寝かせといたりーな。節分嫌がっとったんやし」

萃香「ふがっ、節分?!」

福太郎「起きた」

萃香「おはよー、れーむ……」

福太郎「俺は霊夢やないよ」

萃香「んぁ?あー、そっかーこっちに逃げてたんだ」

クロ「鬼が逃げるってどうなんだ」

萃香「逃げたんじゃない!避難したんだ!」

クロ「自分で逃げたって言ったのに……」

メリー「んんっ、なーに?なんの騒ぎ?」

福太郎「メリーちゃんおはよ」

メリー「おはよー……あれ、萃香だ」

萃香「おう、おチビ」

メリー「メリーはおチビじゃないわ!」

福太郎「んー、通常運転やな」

クロ「これでいいのか……?」

福太郎「ええんちゃう?さて、朝ごはんでもつくろか」

クロ「煎り豆と恵方巻きでいいんじゃね?」

萃香「おー、朝からいいねぇ」

クロ「平気なのかよ!!」

萃香「食べるのは別に平気だけど?」

福太郎「ぶつけられるんがアカンのや」

萃香「そうなんだよ。ヒリヒリするんだよ」

福太郎「それだけ?」

萃香「それだけってイヤだろ?」

福太郎「まぁ、嫌ややけど……あれなんやな。やっぱり豆程度では鬼ははらえんのやな」

萃香「鬼舐めんなッ!」

クロ「じゃあ、別に逃げてくることもなかっただろ……」
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