第肆夜『福太郎の不思議な日常』
ー寿医院ー
女医「アンタ、歪業のひとかい」
福太郎「あ、はい。」
女医「はぁ、だったらその怪我は妖怪に?」
福太郎「いや、これはまぁ事故といいますか、俺の不注意といいますか……」
蛍「まぁなんでもいいさ。あたしゃ蛍。寿蛍、元歪業屋していて今は医者してる。妖怪も見たりしてるよ」
福太郎「へー、そうなんや」
蛍「あんたみたいにポヤポヤしてるのは気をつけとかないと今に大怪我するんだからシャンとしなよ。」
福太郎「んっ、はい…」
蛍「しかも足をくじいて雨の中を女の子に運んでもらうなんて!!男の子なんだかしっかりしなさい!」
蛍婆さんは処置を終えた福太郎の足をぺちっとしばいた。
福太郎「ぎっ……」
ー寿医院:待合室ー
『ぎゃあああぁー』
由乃「……」
福太郎の悲鳴も耳に入らない様子だった由乃の隣にふと誰かが腰をかけた。
由乃母「……」
由乃「……お母さん!」
由乃母「先生からあなた達がここにいるって電話があったわ。雲太郎さんて方も病院(ここ)に来るって」
由乃「そう…」
由乃母「由乃」
母はそっと由乃のを頬を両手ではさむ。やさしく、そっと。
由乃「どうしたお母さん?」
由乃母「あのとき、ちゃんとしたこと言えなくてごめんなさい」
由乃「……!!」
由乃母「改めて言うわ。他人に酷い事を言われてもあなたはお母さんとお父さんが愛し合って生まれた子よ。私たち夫婦の誇りよ」
由乃「……っ!」
由乃は母の胸へと顔をうずめた。その目からはほろほろと雫がこぼれ落ちる。
由乃母「由乃?」
由乃「昨日から自分が誰だか分からなくなっちゃいそうでとても怖かったの……変な態度とってごめんなさい……」
由乃母「いいのよ」
蛍「ほらほら!終わったわよ!」
福太郎「あいたたた背中叩かんといてくださいよぉ。由乃ちゃんホンマにありがとな」
福太郎がひょこひょこと現れたと同時に荒々し声がふたつ飛び交った。
「コラっ暴れるなわがままばかり言って……恥を知れ!」
「痛い!!はなせ!!はなせ兄上!!」
雲太郎「すみません!弟がご迷惑を……!!」
入って来たのはずぶ濡れの雲太郎と雨次郎。どうやら、雲太郎が捕まえたらしいが雨次郎は福太郎の顔を見て悪態をついた。
雨次郎「チッ」
雲太郎「なんだその態度は!!」
福太郎「まぁまぁ雲太郎さん落ちついて……」
雲太郎「そうはいきませんお二人に雨の中捜させた揚句、福太郎さんにケガをさせてしまった……早く謝りなさい!」
雨次郎「断る!!人間に下げる頭など無い!そもそも勝手に探して勝手に怪我したヤツに謝る必要が無い!!兄上も兄上だ…軽々しく人に頭を下げろなどと前の兄上なら言わなかった!まぁ人間何かを伴侶として選んだ時点で兄上の烏天狗としての誇りはあの女に汚されてしまっているんだから言っても無駄か!」
雲太郎「いい加減にしろ雨次郎……言っていいことと悪いことがあ……る?」
昨日の比ではない怒りを露わにしようとした雲太郎の横を平然としかし凛とした態度で通り過ぎて雨次郎の前に立ちはだかったのは由乃だった。
由乃「……」
雨次郎「なんだよ」
由乃「いくら人間が嫌いでもあなたがお兄さんと相手の方の関係をとやかく言うのは間違ってるわ。」
雨次郎「け……穢らわしい混ざり者が俺に説教か!」
由乃「あなたは私に誇りが無いといった。確かに私は人間と妖怪のハーフです。だからあなたの言う通り種族としての誇りは低いかもしれない。でも、母がいってくれた。父と母が愛し合って私が生まれたと私はそれが誇らしい。大車由乃であることが誇らしい。あなたはお兄さんになんて言って欲しいの?」
雨次郎「……」
雲太郎「雨次郎…」
女医「アンタ、歪業のひとかい」
福太郎「あ、はい。」
女医「はぁ、だったらその怪我は妖怪に?」
福太郎「いや、これはまぁ事故といいますか、俺の不注意といいますか……」
蛍「まぁなんでもいいさ。あたしゃ蛍。寿蛍、元歪業屋していて今は医者してる。妖怪も見たりしてるよ」
福太郎「へー、そうなんや」
蛍「あんたみたいにポヤポヤしてるのは気をつけとかないと今に大怪我するんだからシャンとしなよ。」
福太郎「んっ、はい…」
蛍「しかも足をくじいて雨の中を女の子に運んでもらうなんて!!男の子なんだかしっかりしなさい!」
蛍婆さんは処置を終えた福太郎の足をぺちっとしばいた。
福太郎「ぎっ……」
ー寿医院:待合室ー
『ぎゃあああぁー』
由乃「……」
福太郎の悲鳴も耳に入らない様子だった由乃の隣にふと誰かが腰をかけた。
由乃母「……」
由乃「……お母さん!」
由乃母「先生からあなた達がここにいるって電話があったわ。雲太郎さんて方も病院(ここ)に来るって」
由乃「そう…」
由乃母「由乃」
母はそっと由乃のを頬を両手ではさむ。やさしく、そっと。
由乃「どうしたお母さん?」
由乃母「あのとき、ちゃんとしたこと言えなくてごめんなさい」
由乃「……!!」
由乃母「改めて言うわ。他人に酷い事を言われてもあなたはお母さんとお父さんが愛し合って生まれた子よ。私たち夫婦の誇りよ」
由乃「……っ!」
由乃は母の胸へと顔をうずめた。その目からはほろほろと雫がこぼれ落ちる。
由乃母「由乃?」
由乃「昨日から自分が誰だか分からなくなっちゃいそうでとても怖かったの……変な態度とってごめんなさい……」
由乃母「いいのよ」
蛍「ほらほら!終わったわよ!」
福太郎「あいたたた背中叩かんといてくださいよぉ。由乃ちゃんホンマにありがとな」
福太郎がひょこひょこと現れたと同時に荒々し声がふたつ飛び交った。
「コラっ暴れるなわがままばかり言って……恥を知れ!」
「痛い!!はなせ!!はなせ兄上!!」
雲太郎「すみません!弟がご迷惑を……!!」
入って来たのはずぶ濡れの雲太郎と雨次郎。どうやら、雲太郎が捕まえたらしいが雨次郎は福太郎の顔を見て悪態をついた。
雨次郎「チッ」
雲太郎「なんだその態度は!!」
福太郎「まぁまぁ雲太郎さん落ちついて……」
雲太郎「そうはいきませんお二人に雨の中捜させた揚句、福太郎さんにケガをさせてしまった……早く謝りなさい!」
雨次郎「断る!!人間に下げる頭など無い!そもそも勝手に探して勝手に怪我したヤツに謝る必要が無い!!兄上も兄上だ…軽々しく人に頭を下げろなどと前の兄上なら言わなかった!まぁ人間何かを伴侶として選んだ時点で兄上の烏天狗としての誇りはあの女に汚されてしまっているんだから言っても無駄か!」
雲太郎「いい加減にしろ雨次郎……言っていいことと悪いことがあ……る?」
昨日の比ではない怒りを露わにしようとした雲太郎の横を平然としかし凛とした態度で通り過ぎて雨次郎の前に立ちはだかったのは由乃だった。
由乃「……」
雨次郎「なんだよ」
由乃「いくら人間が嫌いでもあなたがお兄さんと相手の方の関係をとやかく言うのは間違ってるわ。」
雨次郎「け……穢らわしい混ざり者が俺に説教か!」
由乃「あなたは私に誇りが無いといった。確かに私は人間と妖怪のハーフです。だからあなたの言う通り種族としての誇りは低いかもしれない。でも、母がいってくれた。父と母が愛し合って私が生まれたと私はそれが誇らしい。大車由乃であることが誇らしい。あなたはお兄さんになんて言って欲しいの?」
雨次郎「……」
雲太郎「雨次郎…」