第肆夜『福太郎の不思議な日常』
ー百鬼襖の部屋ー
由乃「ええと、こちらが今回やつてくる方の資料です」
ダンボールのひとつの中からファイルをひとつ取り出して渡してくれる。
福太郎「んっ、はい。えーと……烏天狗の雨次郎くん。自分の意思でこっちに来るんやなくてお兄さんに呼ばれてくるんやね。」
お兄さんの名前は「雲太郎」で既に人間社会で暮らしていっているとも書かれている。
由乃「はい、お兄さんは数年前からこっちで暮らしてて雨次郎君は今までひとりで向こうにいたらしいです。」
福太郎「んっ、なるほど……そろそろ時間やね」
由乃「そうですね」
チリン……チリンリン♪と百鬼襖から鈴の音がする。来たという合図だ。
福太郎「はいはい、いらっしゃいませ」
烏天狗「ああ、狭い狭い出るのも一苦労だ……ふむ」
窮屈そうに出てきたのは黒い羽を全身に纏って黒い翼と黒い口ばしを持つ烏天狗(鳥人間)。頭襟、鈴懸、結袈裟を身につけて山伏のような格好だ。
福太郎「はじめまして、俺は歪屋の御堂福太郎で、こちらは俺らの手伝ってくれる大車由乃さん」
由乃「はじめまして!」
福太郎「まぁ、いろいろあると思うけどよろしゅ……」
雨次郎「……」
挨拶がわりの握手をしようと伸ばした手を雨次郎はぺちっと弾き返した。
福太郎「!?」
由乃「!?」
雨次郎「人間ごときが俺に触るな!」
~数十分後~
有る程度のことは説明を終えて、とりあえず部屋で休んでもらうことにして福太郎は台所でお茶の準備をしつつ、由乃は溜息をついた。
由乃「あー少しびっくりしたぁ…」
福太郎「えーと、資料によると……もともと天狗は修業をつんどる妖怪やから誇り高くて触られるのが嫌い言うひともおるみたいや」
由乃「なるほど、でも今からお兄さんが会いに来るって話しですから早く教えてあげないとですね。今までひとりだったなら早く会いたいはずだし」
福太郎「せやね、きっと喜んでくれるはずや。雨次郎くん、雨次郎君。そういえば今から雲太郎さんが来るそうやで。これからのことを話したいそうや」
雨次郎「兄上が!?そうかついに兄上に会えるのか…長かった……兄上は凄いぞ!掌を空にかざせば雲が立ち込め嵐が起きる!厳しい修行のたまものなのだ!人間のお前にも分かりやすいようあとで説明してやろう!」
キラキラと目を輝かせて兄自慢を語ろうとする雨次郎、さっきまでの態度とはえらい違いだ。
福太郎「ははは…」
そのときピンポンっとチャイムが鳴った。
由乃「はーい?」
福太郎「はい?」
ドアを開けた先には人のよさそうな顔をした青年と優しそうな顔をした女性が立っていた。
雲次郎「こんにちは雨次郎がお世話になっています。兄の雲太郎です」
福太郎「んっ、どうも歪屋の御堂福太郎です」
雲太郎「こちらは佳世です。妖怪のことは知ってますので安心してください。」
佳世「初めまして」
雨次郎「兄上!!」
兄の声を聞きつけたのか文字通り飛んできた。
雲太郎「お雨次郎!久しぶりだな!やっと一緒に暮らせるぞ!!」
雨次郎「兄上……?なぜ人間の姿に化けているのだ……?」
雲太郎「馬鹿だな。この姿じゃないとこっちで働けないだろ」
雨次郎「それでも兄上に会えてうれしい」
福太郎「んっ、ほんなら皆さん。立ち話もなんなんで部屋にどうぞ。お茶でも入れますわ」
由乃「ええと、こちらが今回やつてくる方の資料です」
ダンボールのひとつの中からファイルをひとつ取り出して渡してくれる。
福太郎「んっ、はい。えーと……烏天狗の雨次郎くん。自分の意思でこっちに来るんやなくてお兄さんに呼ばれてくるんやね。」
お兄さんの名前は「雲太郎」で既に人間社会で暮らしていっているとも書かれている。
由乃「はい、お兄さんは数年前からこっちで暮らしてて雨次郎君は今までひとりで向こうにいたらしいです。」
福太郎「んっ、なるほど……そろそろ時間やね」
由乃「そうですね」
チリン……チリンリン♪と百鬼襖から鈴の音がする。来たという合図だ。
福太郎「はいはい、いらっしゃいませ」
烏天狗「ああ、狭い狭い出るのも一苦労だ……ふむ」
窮屈そうに出てきたのは黒い羽を全身に纏って黒い翼と黒い口ばしを持つ烏天狗(鳥人間)。頭襟、鈴懸、結袈裟を身につけて山伏のような格好だ。
福太郎「はじめまして、俺は歪屋の御堂福太郎で、こちらは俺らの手伝ってくれる大車由乃さん」
由乃「はじめまして!」
福太郎「まぁ、いろいろあると思うけどよろしゅ……」
雨次郎「……」
挨拶がわりの握手をしようと伸ばした手を雨次郎はぺちっと弾き返した。
福太郎「!?」
由乃「!?」
雨次郎「人間ごときが俺に触るな!」
~数十分後~
有る程度のことは説明を終えて、とりあえず部屋で休んでもらうことにして福太郎は台所でお茶の準備をしつつ、由乃は溜息をついた。
由乃「あー少しびっくりしたぁ…」
福太郎「えーと、資料によると……もともと天狗は修業をつんどる妖怪やから誇り高くて触られるのが嫌い言うひともおるみたいや」
由乃「なるほど、でも今からお兄さんが会いに来るって話しですから早く教えてあげないとですね。今までひとりだったなら早く会いたいはずだし」
福太郎「せやね、きっと喜んでくれるはずや。雨次郎くん、雨次郎君。そういえば今から雲太郎さんが来るそうやで。これからのことを話したいそうや」
雨次郎「兄上が!?そうかついに兄上に会えるのか…長かった……兄上は凄いぞ!掌を空にかざせば雲が立ち込め嵐が起きる!厳しい修行のたまものなのだ!人間のお前にも分かりやすいようあとで説明してやろう!」
キラキラと目を輝かせて兄自慢を語ろうとする雨次郎、さっきまでの態度とはえらい違いだ。
福太郎「ははは…」
そのときピンポンっとチャイムが鳴った。
由乃「はーい?」
福太郎「はい?」
ドアを開けた先には人のよさそうな顔をした青年と優しそうな顔をした女性が立っていた。
雲次郎「こんにちは雨次郎がお世話になっています。兄の雲太郎です」
福太郎「んっ、どうも歪屋の御堂福太郎です」
雲太郎「こちらは佳世です。妖怪のことは知ってますので安心してください。」
佳世「初めまして」
雨次郎「兄上!!」
兄の声を聞きつけたのか文字通り飛んできた。
雲太郎「お雨次郎!久しぶりだな!やっと一緒に暮らせるぞ!!」
雨次郎「兄上……?なぜ人間の姿に化けているのだ……?」
雲太郎「馬鹿だな。この姿じゃないとこっちで働けないだろ」
雨次郎「それでも兄上に会えてうれしい」
福太郎「んっ、ほんなら皆さん。立ち話もなんなんで部屋にどうぞ。お茶でも入れますわ」