第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー夢見長屋の庭ー

幽香「さて……だいたいは植え終わったから枯らさないようにしてね。」

福太郎「……」

メリー「……」

りんね「……」

クロ「……」

幽香「枯らさないようにしてね。犬」

クロ「やっぱり私かよっ!!」

幽香「貴女の仕事なんだからいい加減に学びなさい」

クロ「仕事じゃねーし!!」

福太郎「ちなみに俺はクロの世話という名目で結構な額が支給されとるよ」

クロ「はぁっ?!私は聞いてないぞ!」

福太郎「んっ、いや……由乃ちゃんに相談したところ。百鬼襖のアシスタント妖怪として登録したら、クロのアシスタントの給料とは別に俺にクロの世話分の給料がはいっとるんよ」

メリー「ええと、どういうこと?」

幽香「つまり、福太郎がクロを世話したらそれだけでお金もらえるってことよ」

福太郎「平たく言えばそうやな」

クロ「納得いかん!」

福太郎「ちなみにその分のお金はおもにクロのお酒代として消費されとるよ。」

クロ「……すいません」

幽香「あら、飼い主にはちゃんとごめんなさいができるようになってるじゃない」

クロ「うっさい!」

福太郎「まぁ、でも、クロが悪さしたりしたら、その分ペナルティが俺に来るし。ちゃんとしてくれとるんはホンマ、クロには感謝しとるよ」

クロ「ふんっ」

りんね「まぁ、尻尾がふりふりしてるわ」

幽香「分かりやすいわねぇ。引っ張ってみようかしら」

クロ「やめろ!」

幽香「それより出かけるわよ」

福太郎「ん?レンガ買いに?」

幽香「違うわ」

クロ「また、花の苗買いにかよ」

幽香「違う」

りんね「出会い系で約束した人との顔合わせ?」

幽香「……」

ひゅんっ!ブチャッ!

福太郎「アカン!アカン!顔に日傘投げつけたらアカン!スプラッタサスペンスの惨殺死体みたいになってまっとるから!」

クロ「うーわー……貫いちまってるよこれ」

りんね「びっくりしたわ」
ズボッ!ぼとっ……ころころ

福太郎「センセも普通に引っこ抜かんの……って、ほら目玉落ちた。メリーちゃん、止めて止めて」

メリー「もー、泥ついちゃうでしょ!」

りんね「うふふっ、みんな優しくて嬉しいわ」

幽香「昨日名刺を寄越したひとのところよ」

福太郎「名刺言うたら……えーと、滝田さん」

幽香「それよ。花の苗を育成しているのを見てみたいし」

福太郎「ええですけど、いきなり行ってお邪魔にならんかな」

りんね「先に電話をかけてアポを取っておいたらいいわよ」
でろー……

福太郎「せやね……せやけど、先にセンセははよ目玉はめてください。なんか色々と垂れ流れ取りますよ」

クロ「私らも着替えてから行こうぜ……返り血がひどい」

福太郎「せやね……」
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