第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー廃校:校門前ー

【フム、私(コレ)の守護結界(シールド)がこうも易々と破られたカっ……まだマだ、力不足だな】

「昼間からなんだお前ら。鎮伏屋(ハンター)?」

福太郎「ん?」

ひとの気配など無かったのだが、声がしたので振り返ってみると長身痩躯で白髪の男と全身に刺青が彫られた褐色南米風(?)の男が居た。

幽香「あら、さっそく何かが出てきたじゃない」

クロ「なんだこの臭い……」

福太郎「どないしてん?」

クロ「白髪の奴の臭いが色々混ざってる感じがする。もう片方の褐色のやつは爬虫類臭い」

幽香「犬はやっぱり鼻は良いのね。」

クロ「犬っていうな!!」

福太郎「すんません。勝手に入ってしもたんは謝ります」

【なんダ、いきなり低姿勢ダな】

「低姿勢のまえに結界ブチ破って入ってきてるんだから……喧嘩売りにきたんだろ?なぁ?」

白髪の男はどこから出したりか鉄パイプのような長い棒を振りかざした。

福太郎「いや、そういうわけや……」

幽香「あら、礼儀がなってないのはどっちかしらいきなりそんな物をひとに向けるなんて」

クロ「お前だってひとに日傘の先を突き付けるだろ」

「テメーは人間じゃねぇだろ」

幽香「ふふっ……だったらなに?」

福太郎「あのー、ちょっとええですか?」

【なんダ?】

福太郎「もしかしてここって猫の管理人さんとかおりまへん?円造寺冥いう娘」

【冥を知ってるのカ?】

福太郎「ええと、夢見長屋に部屋を借りとる御堂福太郎いいます」

義鷹「夢見長屋?なんだ、お前らあそこの住人か。俺は伍号室の義鷹だ」

マサライ【私は此処の番人、マサライだ】

福太郎「あら、住人さんやったんや」

義鷹「まぁ、あっちにはほとんど帰らねぇからな」

幽香「あらあら、なんだかなごんじゃったわね……チッ」

クロ「舌打ちすんなよ」

義鷹「そいつらは?」

福太郎「んっ、ええと、こっちは風見幽香さん、花の妖怪でこっちはクロ、犬の妖怪」

クロ「大神!大神だ!」

義鷹「犬だな」

マサライ【犬だ】

クロ「ぐるるる!」

幽香「なんか冷めちゃったわね。行きましょう」

福太郎「えぇ……。なんですのん、ソレ」

幽香「もっと面白いものが出てくるかと思ったら鵼と蛇……そんな珍しいものじゃなかったからいいわ。」

義鷹「なんなんだ。」

福太郎「すんません。改めてまたお詫びにくるんで、堪忍したってつかぁさい。」

クロ「あいつ……ちょっとしたトラブルメーカーだな」

義鷹「……」

マサライ【いいのカ?】

義鷹「帰るんだからほっときゃあいい。」

マサライ【そうカ】
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