第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー寂れた公園ー

悠「ここの公園ずいぶん寂れてるな」

福太郎「今時、公園で遊ぶ子も少なくなっとるやろ」

悠「そりゃそうだな。外で追いかけっこしてるより室内で狩りしてた方が楽しいし」

福太郎「それはまた極端な例えやね。っていうか、それやのにわざわざウチきたん?」

悠「福ちゃんといると楽しいしからな。それに別に屋外でも狩りは出来るし」

福太郎「悠もかわっとるな」

悠「よく言われる。あー、そうだこの前メリーさんから電話来たじゃんあれからどうだ?」

福太郎「んー……なんや冥界かららしき電話が頻繁にかかりだしたけん家電の番号は変えたよ」

悠「冥界からの電話も番号変えたら掛かってこなくなるのか……」

福太郎「みたいやで。そうや……。今更やけどメリーさんは見えたし、触れたんやな」

悠「人形が悪霊(妖怪?)化したものだから実体があったんじゃね?多分」

福太郎「めっちゃ曖昧やな」

悠「そんなもんだろ」

福太郎「そんなもんなんかなぁ」

悠「あ、そだ。それ描き終わったら。また都市伝説探してみないか」

福太郎「ええけど、どれ?」

悠「有名どころでコレはどうかな」



~都市伝説~
『口裂け女』

冬の日の小学校の帰り、少年が公園で遊んでいると、コートを着て、マスクをした若い女に声をかけられた。

「あたし綺麗?」

マスクしていたけれど、とても綺麗な顔だちだと思ったので、

「綺麗だよ、お姉さん」

と少年は答えた。すると、その女はマスクはぎとり、恐ろしい声で言った。

「これでも綺麗?」

女の口は耳まで裂けていた。少年は恐ろしくて逃げ出したが、女はコートから鎌を取り出し、とんでもない速さで追いかけてくる。あっというまに追いつき少年を捕まえると、少年の口を鎌で耳まで切り裂いてしまった。


~~

福太郎「確かに有名やな。有名やけど……コレ殺られん?」

悠「大丈夫だガマ油と肝油ドロップ持ってきてる」

福太郎「いや、用意するんはポマードと鼈甲飴(べっこうあめ)やろ。っていうか、ガマ油……逆によう用意できたな」

悠「些細なミスだ」

福太郎「些細って何処まで許されるん?!」

悠「ひゃひゃひゃ。さて、ちょっと昼飯買ってくる。何が良い?」

福太郎「せやったら、手軽に片手で食べれるもんかな」

悠「チーズホンデュとか……」

福太郎「手軽や無いなぁ。」

悠「冗談だ。休憩しててくれ」





そういわれて休憩していると見知らぬ女性から……

マスクの女「わたし、綺麗?」

っと聞かれた。

福太郎「整った顔立ちだとは思いますが」

マスクの女「そう、ありがとう。でも……これでも綺麗…?」

そういってマスクを……

悠「福ちゃん、ピザ買ってきぞ。ガブッ!」

マスクの女「……」

福太郎「悠、ピザ一枚を一口で半分食うんはワニかなんかやで……あ、えと、まだなにか?」

マスクの女「いえ、なんでも…」

福太郎「今、マスクを外しかけてませんでしたか?」

マスクの女「ません。さよなら。」

悠「はぐはぐ……どったの?」

福太郎「さぁ、なんやったんやろ……?」
18/100ページ
スキ