第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「そういえば、お餅どうなった?」

恋「……」
ピクっ

福太郎「ん?」

悠「へへっー、それがさぁー」

恋「……」

悠「お雑煮も焼きもちもさすがに飽きたっていったらカレーたいてくれてさ」

福太郎「ふんふん、ええやん。」

悠「そしたら餅にカレーぶっかけて出してくれたのさ」

福太郎「……」

恋「もーいい、もーいいんじゃ!」

クロ「そこまでして餅喰わされてたら地獄だな」

悠「もうなれたよ。たぶん、カレー食い終わったらシチューかハヤシを餅にブッかけられて喰わされるヴィジョンも見え……。いや、まるっとお見通しだ!」

福太郎「……」

メリー「……」

クロ「……」

悠「なんですか、その目は」

恋「憐れんどるんじゃろ」

悠「そうハッキリ言葉に出されるとつらくなるからやめれ」

クロ「っというか、いったいどれだけ餅あるんだよもう8日だぞ」

悠「……100キロ」

クロ「は?」

悠「100キロ。餅100キロだよ」

福太郎「それどないしてん?」

悠「従姉が「今年は大人数なんやしお餅沢山いるやろ。送るなー」って電話からとどいたのがその量だったのさ」

福太郎「せやかて100キロて……」

恋「ウチにいるのが悠、ゆう、恋、真桜、白巳、ゆうな、ゆえ、楓子、影子……仮にひとり10キロ食べたとしてもまだ余るんじゃからな」

メリー「普通にひとり十キロも食べられないしね」

悠「白巳、真桜ははじめっから戦力外だしカゲコは食が細い後は普通。そうなると戦力になるのはゆうとゆえだけ……。」

福太郎「三人で100キロって黄金の伝説?」

悠「はぁ」

恋「あとひと息ではないか」

クロ「百キロを?!」

恋「いや、とりあえず冷凍庫の中の餅さえ片付けたら許してもらえるそうじゃ」

悠「なにも悪いことはしてないのに許されるっていうのも変だけどな」

福太郎「いわれてみたらそうやね」

恋「初めから100キロも送って来ないようにいわなかったことが悪いということらしい」

福太郎「んんっ、なるほど」

悠「仕方ないだろ……梔姐さんに限らず。親戚っていうのは孫に物を食べさせたがるんだよ」

福太郎「んー、そうなんかな」

悠「そうなんだよ。とくにおばあちゃんおじいちゃんはな」

福太郎「悠のおじいさんもそうだったん?」

悠「あのクソジジイがそんなまともな人間のわけ無いだろ!!」

福太郎「えぇ……」

恋「全体的に悠の一族がおかしいんじゃな」

悠「おれの一族でまとめるな。少なくともおれと梔姐さんはまともだ」

恋「自分を数に込めるな」

悠「なんでだよ!」

福太郎「んっ、話しの腰折るんやけど。毎日餅食べて太らんの?」

悠「今は80後半かな。大分落ちた」

クロ「なんでだよっ?!」

悠「怪我してから筋トレやってないからな。落ちて当然だろ。なぁに。速効で90キロまでは戻せる。今年こそ常時100キロキープするぜ」

福太郎「頑張ってな」

悠「おうっ!」

恋「……」

クロ「……」
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