第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「このカードをここに置きます。だけどこの山札の一番上のカードはなぜがこっちに伏せたカードと同じになります」

福太郎「おー」

悠「っで、こっちのカードは別のものに変わってる」

悠「似たような手品でjokerのカードにまじないをかけます。そして、山札にいれてシャッフルします。でも、一番上のカードは」

福太郎「joker」

悠「好きなところに戻して」

福太郎「んっ」

悠「またこれでシャッフルして一番上のカードを引くと」

福太郎「joker……なんやね」

悠「どーん!」

恋「なんじゃそのしてやったり顔は」

クロ「ってより、野郎二人でなに手品見せ合ってるんだ」

悠「そこにトランプがあったからだ」

福太郎「いや、でもすごいで全然仕掛け分からんし」

悠「これは超単純だから誰でもできるぞ」

福太郎「ホンマに?」

悠「あぁ、ただカードの位置を覚えるだけだ」

福太郎「覚えるって……jokerの位置を?」

悠「そうそう。例えば福ちゃん。この山札の上から適当に好きな枚数を一気にとってみてくれ」

福太郎「んっ」

悠「今16枚とった」

福太郎「えっ。」

クロ「適当だろ」

悠「数えてみろよ」

福太郎「1、2、3……16枚」

恋「どうやったのじゃ」

悠「カードの位置を覚えるのと同じ要領で指の感覚だけでカードの枚数を数えたんだ。トランプは52枚のセットとjoker1枚。だから今さっき福ちゃんがとったカードの束の数を当てる時はこの手元に残った山札の数を数えれば何枚減ったかが分かるだろ」

福太郎「ほー。すごいやん」

悠「どやぁ!」

恋「口でいうな、口で」

福太郎「でも、簡単にできるいうんは嘘やな」

悠「覚えたら簡単にできるぞ」

クロ「山札握っただけで枚数を数えれるまでが長いだろ」

悠「おれは正確に当てられるようになるまで……何年かかったっけ」

恋「他のことにその努力をまわせ」

悠「なにいってるマジシャンとしては超すごいだろ」

福太郎「マジシャンなるん?」

悠「ならないけど」

クロ「まるで意味がねーな」

恋「アホじゃ」

悠「そういってるけど家で手品見せてやったらコイツめっちゃ喜ぶからな」

恋「う、うっさい」

福太郎「ツンデレ?」

悠「ツンツンデレくらいかな」

恋「ツンデレいうな!」

クロ「へっ」

恋「なんじゃ!なんで鼻でわらった!」

悠「おれの周りってけっこうツンデレ多いかも」

福太郎「へー、嬉しいやろ」

悠「あー……おれにデレが返ってくるのなら嬉しいけどな。一方的なツンしかないし……」

福太郎「たぶん、悠が気がついてないだけなんやろね」

悠「あー?」

福太郎「ん、なんもいうとらんよ。それよりもっかい手品見せて」

悠「任せろ。」
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