第肆夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「餅が消費できない……」

福太郎「んー、お正月いうたらお餅が溢れかえるもんな」

悠「朝に醤油焼餅と雑煮、昼に雑煮と焼き肉のたれ焼餅、夜に雑煮と……」

福太郎「主食(炭水化物)が餅?」

悠「そーなんだよ。だから、そろそろ餅以外の炭水化物が食べたくなって……」

クロ「おら、出来たぞ」

悠「お茶づけだぁぁ!!」

クロ「……」

福太郎「はいはい、気持ちわかるけど引かんの」

クロ「いや、お茶漬け掲げて小躍りする大男を目のまえにして引かない奴はいないだろ」

福太郎「せやね」

悠「お前らには分からないよ!三日も餅三昧なおれの気持ちが!」

クロ「分かりたくねぇし」

悠「やっべ、米うめっ!米!」
しゃばしゃば

福太郎「……ご飯まだあった?」

クロ「ジャーの中にはあと一杯分ならあるな。冷凍してるのもあるけど」

悠「おかわりいいってことりばこ?!」

福太郎「もう食べたんや」

悠「久々の米に身体が感動している。」

すっきー『ことりばこってなんすか?』

福太郎「なんや不気味な細工箱見つけてあーだこーだする怖い話し。」

すっきー『めっちゃアバウトな説明っすね』

福太郎「ネット検索した方が早いで」

悠「それよりおかわりください」

クロ「ってか、三食餅食ってよく米はいるな」

悠「三食餅ばっかりくったから米食いたくなるんだよ」

クロ「それが分からん」

メリー「お腹痛くならないの?」

悠「特には」

福太郎「悠は食べる量に比例して身体動かしとるからやろ」

悠「どうだろうか、今は散歩くらいしかしてないしな」

福太郎「そーなん?いっときに比べたら包帯もずいぶん減ったようやけど」

悠「擦り傷とかはすぐに治るんだけど左手がなかなかなぁ。火傷と抉れ傷だから」

福太郎「骨は?」

悠「胸骨はだいたい感知したけど頬はまだ時間かかるっぽい頤とかヒビいってるし」

メリー「おとがい?」

悠「上顎と下顎を繋げてる間接部分だ」

福太郎「頬骨と頤が砕けとるのによーもの噛めるね」

悠「さすがに右側で噛んでるし初日は物なんか食えなかったよ」

すっきー『聞いてるだけでこっちが痛くなってくるっす』

悠「やっぱり物が食えないのは辛いよ。奥歯も折れてめちゃくちゃだったし」

福太郎「マゾさん?」

悠「おれは痛いのは嫌いだけど、周りの奴らはおれを痛い目にあわそう必死なんだよ」

福太郎「それは……なんや辛いな」

悠「だろ。だから、可哀想なおれのためにご飯ください」

クロ「それはおかしい」

福太郎「ええやないの。もう一杯よそったげてや」

クロ「……」

悠「オカズは最悪漬物でもあればいいから。むしろご飯の味を噛みしめれるからそれでいいかも」

クロ「そこまで米に飢えてるのか……」
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