第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「あむ。んっ、ええ塩梅やな」

クロ「ふーん、確かに美味い」

悠(女)「だろぉ、あーしの豆大福は一流なんだよ」

福太郎「悠と同じちゃうん?」

悠(女)「あっちは野郎のゴツイ手でもみくちゃにされた大福。こっちは可愛いあーしの可愛い手でもみくちゃにされた大福。……な?」

クロ「なっ、の意味が分からねぇよ。もみくちゃとかいったら喰う気なくすわ!」

メリー「しかも自分で可愛いって二回言ったの」

恋「戯言と思っておいてやってくれ」

悠(女)「なんだとお前ら」

福太郎「まぁ、美味しいんは事実やし」

悠(女)「えっ、あーしのことが可愛くって美味しそうって?やーん、福ちゃんたら」

福太郎「ところでまだ悠は帰ってきとらんの?」

恋「乱取りとかいう試合で三日ほど出ずっぱりらしいわ」

福太郎「長い三日やな」

悠(女)「さらっと無視して話し進めるなよ」

クロ「相手にしてたらきりがないだろ。」

悠(女)「わんこはよく分かってるな」

クロ「誰が犬だ!」

悠(女)「あぁ、すまんすまん。犬子(わんこ)」

クロ「いっしょじゃねーか!っていうか、誰かも知らんしどう考えても私とキャラが似てないようなネームで呼ぶな!」

福太郎「なんや詳しそうな感じやったけどな」

悠(女)「あーしとしてはなんで最後だけネームって英語でいったのかがすごく気になる」

クロ「なんとなくだよ!」

恋「福太郎、茶のお代りをいれてきてよいか?」

福太郎「んっ、俺やろか?」

恋「よいよい、このくらいは恋がしよう」

悠(女)「しっかり働け」

恋「ひとりは冷や水でよいな」

悠(女)「だってさクロ」

クロ「テメーだよ!」

福太郎「さすがゆうちゃんやな」

悠(女)「ふふん」

クロ「褒められてないことをいい加減自覚しろ」

悠(女)「褒められてると思っておいた方が得だろ」

恋「なんじゃその訳の分からんプラス思考は」

悠(女)「ポジティブな方がいいだろ。卑屈になっててもいい事なんてないぞ」

福太郎「んー、せやね」

クロ「お前は……確かにそうだな」

福太郎「俺は別に卑屈いうわけやないよ」

クロ「……」

福太郎「あれ、なんで黙るん?」

クロ「いや、別に」

悠(女)「まぁ、あーしは嫌いじゃないよ。福ちゃんの不幸オーラ」

福太郎「どうも」

恋「いや。それも褒められとらんじゃろ」

福太郎「せやろか」

クロ「ある意味、おかしなところは似てるんだな……おまえら」

悠(女)「おかしなって意味がちょっとわかんない」

クロ「そういう部分だよ」
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