第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

問題

高目は出和了りできる役満。安目は満貫でテンパイ。そのとき最大何面待ちになるか。ただし、リーチやドラなんかの場況は一切問わない。

後楽「っで、分かったかい?兄さん」

福太郎「この問題のポイントは……出和了できる満貫と言わんかったか。その満貫が出和了りできん役。つまり流し満貫。」

クロ「どういう役だ?」

雪母「捨て牌が一度も鳴かれることな一九字牌のみの場合成立する役よ。そのスポンジ頭に叩きこんどけ、メス犬」

クロ「この……」

福太郎「んで、さらにテンパイいうみとは……ツモが残り一枚で流局いう状況。そこで最後の補足」

すっきー『リーチやドラなんかの場況は一切問わない…っすか?』

福太郎「南家の18巡目……海底牌をツモるいう状況ならOK。次に手牌の方をもっとも待ちの多い役満に設定すればええ。本来やったら国士13面待ちやけど……これが落とし穴。なぜなせ捨て牌が流し満貫やったらフリテンで出和了りでけん。よって流し満貫と国士13面は両立でけん。そーなると次に待ちが多い純正九蓮9面待ちなら成立する。役目出和了りできる役満と安目満貫テンパイが……。」

つまり、純正九蓮の九面待ちと流し満願の十一面待ちを合わせた計二十面。

後楽「それでぇ答えは?」

福太郎「に……」

~~

雪母『イカレた答え……』

~~

クロ「どした?」

福太郎「ちゃうなぁ……。んー、そんな感じやない。二十いう答えは「イカレた」答えやないわ。」

後楽「…………チッ」

クロ「いま舌打ったな」

福太郎「…………あっ、三十四や」

後楽「……あーあ、制限時間ツケときゃよかったぜ」

雪母「はんっ、狸にしちゃ知恵が回らなかったな」

クロ「どうして三十四なんだ」

福太郎「んー、純正九蓮と流し満貫の複合待ち計二十面……も落とし穴や。」

クロ「落とし穴?」

福太郎「実は役満は純正九蓮の九面待ちの必要はないんよ。ある条件を満たせば何でもええんよ」

クロ「条件?」

福太郎「一九字牌を含むことや。手牌にたった一枚でも一九字牌があれば役満はなんでもええ。なぜなら、ハイテイツモが和了牌でなく無駄ヅモだったとしてもツモ切りせず一九字牌を手だしすれば流し満貫和了……せやから答えは全種類。三十四や」

クロ「国士待ちは流し満貫と複合するとフリテンだから不可だしね。」

後楽「やれやれ、兄ちゃんにも即答えられるし……儲けはゼロか」

福太郎「悠は即答だったんや」

後楽「兄ちゃんは引っ掛けが多いほどかいくぐるからな。シンプルな問題のがわりと間違ってくれる。兄さんはちぃーと考え過ぎだったがお見事だ」

福太郎「おおきに」

後楽「ってことで、五千円貸してください」

クロ「どーいうことだよ!答えられたら五千円って話しだっただろ!」

後楽「……それはまぁ、言葉のあやで……お願いします貸してください。」

福太郎「はぁ、これっきりですよ?」

クロ「貸すなよ!」

福太郎「まぁまぁ、そこそこ楽しめたし」

後楽「はっはー。兄さんは話しが分かるぜ!倍にして返すからよ!」

福太郎「期待せずに待っとります」
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