第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「さてと、湯たんぽも用意出来たしやすもかな」

クロ「湯たんぽって古風だな」

福太郎「今でもけっこう使われとるよ。まぁ、俺のは昔ながらのオレンジで重鈍なやつやけど」

ミツバ『ボクも好きですよ~』

福太郎「せやろ」

クロ「まぁ、お前はちょうど上に乗って眠れるからな」

福太郎「メリーちゃんはどない?」

メリー「すごく暖かいよ~ご主人様」

クロ「小さい奴らはいいな……」

福太郎「ホンマにね。ほんならお休み」

「「『おやすみ(なさーい、ッス)』」」

グシャ!
福太郎「ごふっ!!」

クロ「あん?」

幽香「あらあら、アナタったらまた私の足の下に居て……そんなに踏まれるのが好きなの?」

福太郎「ちが……ってか、幽香さんはなんでいつも的確にひとの腹踏めるんよ……」

メリー「あー、ゆうかりん!」

幽香「ふふっ、久しぶりね。」

踏み!踏み!
福太郎「ぐぇっ!」

クロ「……お前もときどき悲惨だな」

福太郎「ひとん事をホンマ床とまちごうとらんかな……」

幽香「犬」

クロ「だれが犬だ!」

幽香「反応したから自覚があるんでしょ。私の花畑は?」

クロ「もうさすがに枯れてるよ」

幽香「まぁ、そうよね。でもちゃんと頼んでおいたことはしたんでしょうね?」

クロ「したよ、しましたよ。だから傘の先をこっちに突き付けるな」

福太郎「なんか頼んではったん?」

幽香「ええ、種を採取しておくようにね」

クロ「袋いっぱいとれたよ」

幽香「ふふっ、上出来よ。」

メリー「またコスモス咲かせるの?」

幽香「同じ花だと芸が無いでしょ。今度は冬の花を咲かせるわ」

福太郎「冬の花言うたら……蕺(どくだみ)?」

幽香「部屋中に咲かして汁でぐしゃくしゃにしてあげましょうか?」

福太郎「いややわぁ、匂いで狂うやろな」

メリー「ドクダミって?」

幽香「別名ジュウヤク(十薬)、ドクダメ(毒溜め)、ギョセイソウ(魚腥草)、ジゴクソバ(地獄蕎麦)。住宅周辺や道ばたなどに自生し、特に半日陰地を好む。全草に強い臭気があって。茎頂に、4枚の白色の総苞(花弁に見える部分)のある棒状の花序に淡黄色の小花を密生させるわ。ちなみにひとつ聞いていい?」

福太郎「はい?」

幽香「ドクダミの開花時期は5~6月よ?冬の花じゃないわ」

福太郎「あれ、ホンマに?」

幽香「無知な挙句、私を疑うの?」

福太郎「いや、そういうつもりや無いんですけど……」

幽香「冬の花ならアリッサムとかシクラメン、パンジー、デージー(ひなぎく)とかね」

メリー「わたしヒナギクがいい!」

幽香「じゃあ、そうしましょうか。明日、苗を買いに行きましょう」

メリー「わーい!」

福太郎「クロ」

クロ「また、私かよ……」
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