第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んん……」

ミツバ『福さん、福さん、朝ですよ』

福太郎「んー……はいはい、おはよさん」

ミツバ『福さん、冷蔵庫の中身がでていますけどどーかしたんですかぁ?』

福太郎「えーと、ちょっとな……」

冷蔵庫のドアを二度ほどノックして一拍子置いてからドアを開けました。

チルノ「すぅすぅ……。」

氷の妖精ことチルノはドロワーズのみという大胆な恰好で小さな寝息を立てています。昨日冗談でいった事を彼女「あたいはさいきょーだから平気」っと謎の持論を展開して冷蔵庫から棚や食材を放りだして本当に中に入ったのでした。ウチで一番高価な家電の冷蔵庫は大きくてなかの物を全部出せば大人でも入るくらいのスペースはあるので幼児のひとりなら余裕です。

福太郎「(せやけど、これ……誰かに見られたら一発で通報やな。パン一の幼女を冷蔵庫に閉じ込めるて……どんな愉快犯やねん。)チルノ、チルノさん?」

よだれを垂らして寝ている彼女の頬を触ると、氷の塊りを触ったように冷たくて一瞬ドキッとしました。

チルノ「ん?んんー……大ちゃん、あさ?」

福太郎「大ちゃん?チルノ、悪いけど福太郎や」

チルノ「んんっ、福太郎……?」

まだ寝ぼけているらしく、ぽへーっとした顔で俺を見てきます。

福太郎「おはよう。とりあえず、そっからでよか。」

チルノ「うん……。」

返事はしてくれたけど首かカクカクと完全に船こいてます。仕方がない(らちが明かない)のでチルノを両手で抱えて冷蔵庫の外に出してベッドに寝かせます。ちょっと運んだだけで手がしもやけ状態になりました。次からは手袋をつけよう。

ミツバ『福さん。あの子は…?』

福太郎「あぁ、なんや、ルーミアの友達らしいで。昨日きたんやけど今夜の夜中まで帰れんからとりあえず泊めたんよ」

ミツバ『でもどーして冷蔵庫の中に?』

福太郎「あの子、熱いンが苦手みたいなんよ」

ミツバ『じゃあーミツバと同じですねぇ~。ミツバも熱いのを舐めるとぴゃってなっちゃいますし~』

それは猫舌だからです。ミツバに先、ごはんをあげて自分とチルノの朝食を用意します。

すっきー『おはようござまーす。……って、福太郎さんのベッドに裸のチルノちゃんが!!ま、まさか……』

福太郎「あ、すっきーおはよ。はい、ごはん置いとくで」

仏具店に売っている仏様のごはんを入れる器(?)のようなものにご飯を持って箸を垂直ざしにした物をすっきーの前に置きます。

すっきー『福さん……結構Sスよね』

福太郎「なにが?」

悪意がない天然の行為は時に人(霊)をも傷つけます。

すっきー『イエ、アリガトウゴザイマス。』

福太郎「雰囲気だけでも楽しんでや」

すっきー『(食事をしてるつもりと思えばいいのかな?)』

チルノ「なんかいい匂い……」

福太郎「ごはんやで。はい、服着て……あー、こらこらそれは裏やろ。はい、バンザイして……そーそー」

チルノ「はっ!あたいはなにしてたんだ!!」

福太郎「普通に寝とったやろ…」

チルノ「あ、えーと……満腹太郎!」

福太郎「どこぞの焼き肉屋みたいな名前ちゃうで……福太郎や」

チルノ「あ、そーそー福太郎。おはよう!!」

福太郎「やっと意識がはっきりしたんやね……」

チルノ「挨拶されたら挨拶しないとダメなんだよ!!」

福太郎「せやね……おはようさん、チルノ。」
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