第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

紫「突撃!ゆかりんの異次元晩御飯!」

福太郎「んっ、なんや久々ですね」

紫「そうねー。ところでお夕飯なーに?」

福太郎「秋の味覚、秋刀魚(さんま)です」

紫「あらー、いいわねー。もう十一月だけど」

福太郎「食べてきます?」

紫「ホントに?」

クロ「いや、既にマイ箸と茶碗出しながら何いってんだ」

福太郎「秋刀魚めいぃっぱい買ってあるんで」

メリー「……」

すっきー『あれ、どうかされたんすか?』

メリー「ゆうかりんじゃなかった」

紫「ゆかりんよ?」

メリー「……」

福太郎「すんません。うちの子を怯えさせるんはやめたってください」

紫「どういう意味よ!!」

クロ「そういう意味だろ」

福太郎「そういえばお願いがあるんですけど」

紫「あら、なにかしら?」

福太郎「あの絵なんですけど……夜中に開通するんやめてもらえません?」

紫「常時開通しろというの?それは危ないわよ?」

福太郎「いや、できれば鍵言うか来る時にはアイズが送れるようにしてもらって、それで俺が応じたら開けれるようにというか」

紫「あ、酢橘ちょうだい」

クロ「私には向けるなよ」

紫「動物は柑橘系の匂いが嫌いよね。」

クロ「うるせーよ」

福太郎「んー……みごとに聞いてくれてへんなぁ」

メリー「あのね、あのね!」

紫「あら、なにかしら?」

メリー「ゆうかりんに会いたいの」

紫「ここにゆかりんがいるじゃない♪」

メリー「ひっ」

紫「ひって何よ!ひって!」

福太郎「せやから……」

紫「怯えさせてもないわよ!」

クロ「ループしてっぞ」

福太郎「とりあえず、夜中に来るんはどうにかでけません?」

紫「できないわねー」

福太郎「軽い調子で無理言われた」

紫「代わりといっちゃなんだけどこれあげるわ」

福太郎「なにこれ?」

クロ「白毛の束か?」

紫「兎の毛よ」

福太郎「そんなもんをどうしろと?」

紫「ただの兎じゃないわ。幸運を呼ぶ兎の毛よ。むしりたての」

福太郎「怖っ?!」

紫「ちょっと気になったのよ」

福太郎「なにがですのん?」

紫「人間を幸せにする能力の兎がいるのだけど、果たしてその兎を見なくちゃ効果がないのか、例えばこの毛みたいに一部分を持ってても効果があるのかって思ってね」

福太郎「自分で試したらええんとちゃいますのん?」

紫「人間にしか効果ないのよ」

福太郎「なるほど……」

紫「まぁ、この毛束に効果があるとは思わないんだけど」

福太郎「毛むしられた兎がかわいそやな……」
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