第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「あむ……んー、ええ味」

悠「それは良かった」

福太郎「せやけど上用饅頭やどないしてん?結婚式でもあったとか?」

悠「うちの近くで祭りしててな買ってみたんだよ。市販品だけどなかなか美味いだろ」

福太郎「せやね」

クロ「お前が来ると酒か甘いものばっかりだな」

悠「大人だろ」

クロ「どこがだよ」

メリー「ねぇ、ご主人様じょーよーまんじゅうって?」

福太郎「んー、お祝い事にこうした紅白饅頭が用意されるんやけど、それのことや」

悠「一歩踏み込んだ説明をすると上用饅頭は、本来「薯蕷まんじゅう」と書いて、薯蕷は山芋の事で自然薯(じねんじょ)ともよぶ。山芋をきめ細かくすりおろして、砂糖と上用粉を加えた生地であんを包み、蒸したものが薯蕷まんじゅうだ。その昔、和菓子は貴族など位が上の者しか食べることが出来なかった。その為、上に用いる饅頭ということで上用饅頭とつけられたのが由来だ」

福太郎「相変わらずの博学やな」

悠「雑学だよ。でも、もっと褒めてくれていいぞ。」

福太郎「すごい、すごい」

悠「ひひひ」

クロ「気色悪い」

悠「なんだとこの野郎、舌入れてやろうか」

クロ「野郎じゃねーしふざけんな!」

悠「そこはスマン」

福太郎「素直に謝るんな」

クロ「いや、根本的に謝るべきことは他にあるだろ」

悠「他に?さっきから、ホットパンツの隙間からパンチラしてるの見てることか?」

クロ「マジマジとみてんじゃねーよ!」

ベチっ!パクっ!
悠「ふぁんふーをふぁへてんふぁねーふぉ(饅頭をなげてんじゃねーぞ)」

メリー「すごーい、口でキャッチした」

福太郎「犬みたいやな」

クロ「犬とこんなのを同じにすんな!」

悠「犬扱いは怒るのに犬のフォローもするんだな」

クロ「同族ではあるからな」

悠「ああん、足組み直した」

クロ「テメーに何ぞ見せるか!」

悠「福ちゃんになら良いのか?」

福太郎「いや、別にそーいう関係やないし」

クロ「そうだけど淡々というな。淡々と」

悠「デキてる?」

クロ「デキてねーよ!」

福太郎「あはは」

悠「福ちゃんは余裕だな」

福太郎「ん、まぁ悪いこと言われとるわけでもないし」

悠「大人だな。クロも見習えよ」

クロ「お前だ、お前」

メリー「ふたりこそ息ぴったり」

クロ「怒るぞ」

メリー「いっといてごめん……」

悠「おい、お前らどういう意味だそれ」

福太郎「まぁまぁ、お茶でも飲んで」

悠「ズズッ、ふう美味しい」

クロ「単純すぎだろ」

悠「単純なんじゃなく、それで済ませてやってるんだよ」

クロ「ふんっ!」
51/100ページ
スキ