ｰ西口公園ｰ

クロ「植物がある場所って言ってもなぁ」

幽香「なんていうか人が多いわね」

クロ「基本人しかいねーよ」

幽香「野生動物は?」

クロ「鳥とかは居るけど野良犬とか野良猫も都心には目立たなくなってきてるな」

幽香「なんだが目まぐるしいわね。美しくもないし」

クロ「アンタは平気なのか?」

幽香「なにが?」

クロ「アンタは花の妖怪なんだろ。自然が薄いところで活動できるのかっってこと」

幽香「並の妖怪と一緒にされるのは困るわ」

クロ「それもそうか」

幽香「でも、行きましょう。あの車というものの匂いと音は好きになれないわ」

クロ「あぁ、けど花屋でいいのか?」

幽香「いいわ」

クロ「じゃあ……ここらでいちばん近い花やと言ったら」



ｰ桜花フラワー店ｰ

鈴猫「いらっしゃいませ」

幽香「あら、色んな種類があるのね」

鈴猫「はい、今の時期でしたら菊や金木犀(きんもくせい)がオススメですよ」

幽香「金木犀って自分の居る場所より、二軒となりくらいにあるのがいいわよね。」

鈴猫「そうですね。分かります。匂いが強い花ですもんね。」

幽香「苗か種はあるのかしら?」

鈴猫「はい、コスモスとかですか?」

幽香「そうね。とりあえずはコスモスでいいわ」

鈴猫「ありがとうございます。いくつご入り用ですか?」

幽香「あるだけ」

鈴猫「はい。……えっ?」

幽香「なにかしら?」

鈴猫「全部ですか?」

幽香「ええ、全部よ。犬さん。支払いはよろしく」

クロ「犬じゃねーよ!!」

鈴猫「えーと……」

幽香「早くしてくださる?」

鈴猫「あ、はい。すぐに……」

クロ「えぇ……マジで私支払いかよ」




ｰ夢見長屋:畑ｰ

幽香「うん、なかなか良い畑じゃない」

泥田坊「あんのお人は誰だべ?」

クロ「ドS妖怪だ」

幽香「ちょっと、そこの土塊(つちくれ)」

泥田坊「お、おらのことだべか?」

幽香「そうよ。砕かれたくなかったら。そこ一面を整地しなさい」

クロ「さからわねぇ方がいいぞ。あの女はマジでやるタイプだ」

泥田坊「い、いますぐに!」

ザザザザ!!

幽香「楽でいいわね」

クロ「でも、花の種蒔いたってお前今夜帰るんだろ?」

幽香「あなた馬鹿?」

クロ「ああ?」

幽香「私は花の妖怪よ?土塊、次は種よ」

泥田坊「はいはいー!」

パラパラ……

幽香「後は私の能力で……はっ!」

ビデオの早送りのように今さっき撒いたコスモスの花が一面咲き乱れる。

クロ「すげぇ……」

泥田坊「ほんにまぁなんてこったべこらぁ」

幽香「ふふっ。」