第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー近くの公園ー

福太郎「ほなまぁ、地道に探すとして……」

白菊【申し訳ございません】

福太郎「せやけどもーちょっと詳しいに教えてくれな探しようがないで?姿とか」

白菊【女の子です。髪型は短くて……】

雪女「そいつの話を聞いてても分からん。これが写真だ。携帯に送るからアドレスを送れ。ついでに番号もな」

福太郎「んっ、どうも」

白菊【名前は愛(まな)といいます】

福太郎「なんっていうか……無表情なお嬢さんで」

白菊【感情の起伏が低い娘なんです。よろしくお願いいたします】

由乃「行きそうなところに心当たりは?」

白菊【まったく有りませぬ。人の世界に足を踏み入れたことがないので】

福太郎「ちなみに特別なことはないん?」

白菊【というと?】

福太郎「例えば……ホンマの姿が人間外だったりとか」

白菊【それは大丈夫です。むしろ肉体を捨てることが真の姿なので】

雪女「つまりただの人間か」

白菊【はい、ちょっと念動力が使える程度の人間です】

福太郎「まって」

白菊【舞うのでございますか?】

福太郎「いや、そっちの「舞って」やなくて「待って」や」

りんね「よく違いがわかったわねぇ~」

雪女「そもそも実体がない奴が舞ってもいみないでしょうが。ファック!」

福太郎「念動力って……どのくらいのことができるん?」

白菊【あの娘はまだ子供ですから……できてせいぜい重機を浮かせるくらいでしょうか】

福太郎「それもう超の超能力レベルですやん……」

由乃「一気に……緊迫した展開になってきましたね」

りんね「やっぱり揺光さんを呼んだ方がいいんじゃないかしら……」

白菊【平に、平にそれだけは…】

福太郎「ちなみにこの辺りにおるって確証は?」

白菊【気配をこの街で感じたんです。】

福太郎「ほんならさらに探れませんのん?」

白菊【気がつかれないように消してるんですの。かれこれこんな追いかけっこを三週間続けていまして】

福太郎「もうそれ迷子ちゃいますゃん」

雪女「私もそれは今初めて聞いたぞお前、もうひとりで探せ」

白菊【そ、そんなぁ……】

由乃「っていうことは人間界も本当に初めてって訳じゃないんですね。ちょっと安心しました」

雪女「馬鹿らしい。おい、もう適当に探していなかったら解散だ」

りんね「まー、ゆっくり探してても平気みたいだしねぇ」

雪女「ガキひとり満足にみれなくて何が神だってんだよ」

白菊【シクシク……】

福太郎「マジ泣きしとるんでやめたげてください」

由乃「ま、まぁ、少し心配の種がなくなったってことでいいじゃないですか。」

福太郎「せやね。ほんなら、二時間後に再集合しましょ。俺は池袋西口のほうにいってみますわ」

由乃「分かりました。」
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