第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

コンコンコンコンコンコンコン!

福太郎「んんっ……なんや、だぁれ?」

雪女「福太郎、狩りに行くぞ」

福太郎「……はい?」

真夜中も真夜中、ジョジョ第四部の承太郎みたいな事を言われて連れ出されてしまった。




ー近くの公園ー

福太郎「ええと……皆さんお揃いでなんなんです?」

雪女「ファック!だから狩りだと言っただろ」

福太郎「えぇ……」

由乃「あ、あの実はですね。ある妖怪さんのお子さんが迷子になっちゃいまして」

福太郎「子供が迷子?」

りんね「そうなのよー。」

福太郎「もしかして……センセの?」

りんね「やぁねー。私はまだ子持ちじゃないですー!でも、将来的には私もー……」

雪女「脳まで腐ったのか?妄言はそこまでにしとけ」

りんね「ひっどーい!」

福太郎「んっ、もしかして雪娘ちゃんが?」

雪女「いいや、私の娘はちゃんと監禁してある」

たぶん、家にいるということだろう。口が悪いというか言葉に問題がある気がした。

福太郎「ほないったい……?」

【申し訳ない……わたくしでございます。】

福太郎「ん?」

聞き慣れない女性の声がした。しかし、声の主と思われるひとの姿が見えない。

由乃「紹介します。この声の主は白菊(はくぎく)さんです。」

福太郎「白菊さん?」

白菊【はい、わたくし神狐の白菊と申します。】

福太郎「神狐…神さんのきつね?」

雪女「ただしくは神の使いの狐だが、いまは神獣なんぞになりくさってる」

由乃「姿が見えないのは「実体」はもう既に捨て去ってしまっているからです。」

福太郎「へぇ、つまりホンマもんの神さんいうことやね。凄いなあ」

白菊【そんな照れてしまいますわ】

雪女「ファック!神になりくさってるくせに自分のガキひとり満足に見てられないってどうなのよ」

白菊【申し訳ありません、申し訳ありません!】

随分と腰の低い神様らしい。」しろ、雪母さんが恐れを知らないだけだろうか。

福太郎「迷子ってお子さんも透明なん?」

由乃「いえ、子供さんは実体があるらしいです。ただ人間社会の事はあまり……」

福太郎「なるほど……ちなみにメフィストセンセは?」

りんね「それが今ね、魔界で魔道具の骨董市をしてるらしくてこっちに居ないのよぉ」

福太郎「そっかー……あっ、ほんならちょっと助っ人予備まひょか」

雪女「あん?誰かいい奴がいるのか?」

福太郎「えぇ、神狐いうんやったら知っとるかもしれへんけど九尾の狐の揺光さんを……」

白菊【駄目――――!!】

福太郎「っ……!?」

身体が動かない……念動力という奴だろうか。

白菊【揺光様だけは!揺光様だけは勘弁してくださいまし!もし、揺光様のお足もとで問題を起こしただなんてことがバレら……ひぃぃぃ!】

福太郎「……揺光さんと知り合いなんやね」

りんね「っていうか、めちゃくちゃ恐れられてるっぽいわねぇ」
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