第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「悠、読んだよ」

悠「へっ?」

福太郎「今月のストビーの悠のコラム」

悠「あぁ……それな」

クロ「なんだ、苦笑いして」

悠「いやー、ネタがないのに締め切り締め切りってうるさい催促があったから適当に書いたんだけど……あんこの魅力について」

福太郎「んっ、俺は普通に好きな内容やったよ」

悠「おれとしてはふざけんなって怒られてコラム打ちきられるつもりで書いたんだけどな……まさか、ストリート系雑誌にも関わらずにそのまま載せてくるとは思わなかった」

福太郎「ファッションの間に食べもん系の話しっていうが逆にうけるんちゃう?」

悠「そんなもんかねー」

福太郎「次のネタは?」

悠「一応ローカルあんこでいくつもりだ」

メリー「このローカルあんこってなに?」

悠「地方のあんこ菓子のことだよ。」

福太郎「俺はピンとこんのやけど……」

悠「そうだな……福ちゃんの出身地大阪だったら「けし餅」とか」

福太郎「ああ、あれて地方菓子なんや」

メリー「けし餅?」

福太郎「和菓子なんやけど……たぶん、悠が説明してくれる」

悠「けし餅は室町時代にインドからもたらされたと言われるケシの実を餅皮にまぶした珍菓だ。中には小豆のこしあんだ。」

メリー「ふーん、よく分かんないけど美味しそう」

悠「そうだなぁ菓子は現物があってナンボだしな」

クロ「他のローカルってのはどんなんだよ」

悠「例えば北海道の丸缶羊羹。あれはおれも大好きなんだよな」

福太郎「寒いん嫌いな悠も和菓子のためなら寒いん耐えるんやな」

悠「まさか、通販だよ」

福太郎「さよか」

メリー「缶詰にはいってるの?」

悠「そうだ。しかも丸い筒のな、それを出して木綿糸で少しずつ切りながら食べるってちょっと変わったお菓子だ。しかも羊羹としては珍しい金時豆を使用してる。」

福太郎「あれって携帯食いうか缶入りやから保存食にも持ってこいやろ」

悠「最近は災害で常備食も必須だからな。特に糖分確保のためにはグゥレイトッかもしれない」

福太郎「悠の和菓子学はすごいなぁ」

悠「好きなものだからこそって奴だけどな。逆に嫌いすぎてキノコの識別もできないことないが」

クロ「なんだそりゃ」

悠「ちなみにローカルあんこでおりが一番お勧めなのは京都だな」

福太郎「京都いうたら和菓子の王道って感じがするけど」

悠「いや、ちょっと変わり種で村雨と丹波大納言のつぶあんでつくられた、ロールケーキ状の小倉羊羹があるんだ。あんのまわりもそぼろあんていうナイスな菓子で、上品な甘みが美味い」

メリー「……ご主人さまー、和菓子食べたくなっちゃった」

福太郎「せやなー」

悠「そんなこともあろうかと思って新作の和菓子を持って来ておいた」

福太郎「ああ、それで今日来たんや」

悠「うむ。米粉を使った生地でかぼちゃあんを巻いた二色切り団子」

福太郎「ほな……折角やしお茶にしょか」

メリー「はーい♪」
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