第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

早苗「なんだかすいません」

福太郎「ん?」

早苗「結局色々と買っていただいて」

福太郎「んん、かまへんよ」

早苗「是非なにかお礼させてください」

福太郎「んー……」

早苗「薄い本みたいなのはダメですよ?」

福太郎「それはない」

早苗「きっぱり即答されるとなんだか複雑な気分です」

福太郎「というか、別に礼もなぁ。掃除洗濯炊事はしてくれたし……あとは、これというてやって貰いたいこともないんやけど」

早苗「無欲なひとですねぇ」

福太郎「欲いうたら新しいノートパソコンが欲しいいうんはあるけど」

早苗「それはちょっと……」

クロ「私は信仰が欲しい」

早苗「私だって欲しいですよ!」

福太郎「別な話になってしもとるけど……信仰って具体的になんなん?」

クロ「お布施だよ」

早苗「いろいろありますよ。神様に祈りを捧げてくれるのも信仰のひとつですし」

福太郎「宗教の教えを説かれたりとか?」

早苗「はいっ!」

すっきー『めっちゃ元気よく返事したっすね』

福太郎「幻想郷やと東風屋さんとこの宗教オンリーなん?」

早苗「いえ、博麗神社、命蓮寺、この前は太子もでてきましたよ」

福太郎「太子?……もしかして聖徳太子?」

早苗「はい、たぶん」

福太郎「どゆこと?」

早苗「豊聡耳神子(とよさとみみのみこ)という方なんですが仙人らしいんです。」

福太郎「仙人までおるんや。」

早苗「キョンシーもいますよ」

福太郎「テンテン可愛かったよな」

早苗「ああ分かります!ですよねー。キョンシーさんは何のことが分かってなかったみたいだからボコボコにしましたけど」

福太郎「ときおりバイオレンスな片鱗をみせるよなぁ」

早苗「妖怪は退治してもいいんですよ?」

福太郎「それだけでウチの部屋におる全員がビクっとするんでやめたげて」

クロ「やっぱりこの女あぶねぇな」

早苗「そんなことないですよ?」

クロ「おおいにあるっーの」

福太郎「ウチの近隣にも死なへん人おるけどアレはリビングデッドやろか」

メリー「アンデットじゃない?」

早苗「祓いますか!!」

福太郎「んっ、祓わんでええよ。無害なひとやから」

クロ「本人は無害だが一度スプラッタになると辺りへの被害は甚大だけどな」

福太郎「あれで向こうは平然としとるしなぁ」

早苗「腐敗しているから崩れやすいんですねきっと」

福太郎「腐りきっては無いんで?」

クロ「お前ら容赦なく腐ってるだの腐敗してるだのいってやんなよ……」

福太郎「……熟成?」

クロ「肉じゃねーんだぞ」

福太郎「肉は肉やろ」

クロ「食肉ではねーだろっ!」

福太郎「とか話しとるうちに十二時になるな」

早苗「お世話になりました」

福太郎「いやいや、また気が向いたら遊びおいで」

早苗「ありがとうございます。それじゃあ、またきます!」
35/100ページ
スキ