第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

これまでに何度となく説明してきたので、スムーズに彼女の現状を告げた。

早苗「なるほど、紫さんの仕業ですか」

福太郎「んっ、仕業いうか所業いうかなんというか……」

早苗「そうなると明日の夜中、十二時ちょうどまでは帰れないのですね?」

福太郎「んっ、紫さんが来てくれたり、東風谷さんが自力で空間突破的なことができるんなら話しは別やけど」

早苗「あの方がわざわざ来てくれるわけはありませんし……待つしかないですね。すみませんが、よろしくお願いします」

福太郎「んっ、ご丁寧に」

早苗「代わりというにはなんですが妖怪退治なら任せてください!」

福太郎「んっ、せんでええよ」

早苗「えー……」

福太郎「べつに悪いことしとる妖怪居らんし」

早苗「悪いことしてなくても妖怪は退治してもいいんですよ?」

クロ「この女……まともそうに見えて中は結構危なくないか?」

メリー「刺しちゃおっか?」

福太郎「そこも不穏な会話せんの……」

すっきー『質問いいっすか?』

早苗「どうぞ」

すっきー『現人神なんですよね?』

早苗「そうですよ」

すっきー『それでも巫女なんですか?』

早苗「巫女と言えば巫女のようなものです」

すっきー『?』

クロ「なるほど、神でもあるが人でもあるってやつか」

福太郎「そういうもんなん?」

クロ「昔陰陽師でそーいうのがいたよ。安倍清明ってのがな」

福太郎「清明って神やったん?」

クロ「狐の噂もあったが……はっきりしたことは解らねぇな」

メリー「巫女さんってことは神様もいるの?」

早苗「居ますよ。神奈子様と諏訪子様が」

福太郎「何神?」

早苗「神奈子様は山の神様です。元々は風雨の神様だったそうですけど、それと諏訪子様は生誕、農作、軍事、様々な事柄の祟り神であるミシャグジ様です。」

福太郎「ミシャグジ……もしかし蛇?」

早苗「えーと、わけあって神奈子様が蛇で諏訪子様は蛙です」

メリー「蛙と蛇……爬虫類……うえー」

早苗「どっちも可愛いですよね♪」

クロ「可愛いって……」

福太郎「蛇、蛙……ほな、東風谷さんはナメク……」

早苗「それ以上いったら絶対に許さなえ♪」

福太郎「おおっと……これは危険な感じや」

メリー「なんでナメクジ?」

すっきー『三すくみって言いまして蛇は蛙に勝って、蛙はナメクジに勝って、ナメクジは蛇に勝つんですよ。じゃんけんみたいなものっす』

メリー「蛇のほうがナメクジより強くない?」

クロ「蛇は蛙を一飲みにし、蛙は蛞蝓を食い、蛞蝓は蛇を粘液で溶かしちまうんだよ」

福太郎「ちなみに実際はそんなこと無いんやけどね。粘液ではよっぽどなナメクジやないととけへんらしいよ」

早苗「だから、私はナメクジじゃないですからねっ!」

福太郎「すんません」

早苗「まったく、もうちょっとで神徳「五穀豊穣ライスシャワー」が火を吹いてましたよ」

福太郎「なんや分からんけど命拾いしたっぽいな」
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