第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んー……しまった。キャベツがひんけてしもとる」

クロ「こっちのジャガイモは芽が出てるぞ」

悠「両方ともカレーかなんかに入れたら食えるべ」

福太郎「せやろか」

クロ「いや、捨てろよ」

福太郎「……もったいなぁない?」

クロ「こんなのはもう腐敗すんぜんだろ」

悠「腐りかけが美味い」

クロ「じゃあテメーが食え」

悠「生ではちょっと」

福太郎「カレーにしょーか」

悠「わたしぃクリームシチューが食べたいの」

クロ「可愛くない殺意が沸く」

悠「ってことで、ひとつクリシチュにしてみてはいかがだろうか」

福太郎「その略し方はどうなんやろか」

悠「コーンたっぷりのやつがいいな」

クロ「なに作る流れで話してるんだよ」

悠「駄目か?」

福太郎「ええんやけど、クリームシチューのルーがない」

悠「クロ、ダッシュだっ!」

クロ「私をパシリに使ってんじゃねーぞ!!」

福太郎「クリームシチューって……何肉いれるん?」

悠「鳥……かな。」

クロ「牛じゃねーの?」

福太郎「豚とちゃうかったんや」

悠「おいおい、見事にバラバラだな」

福太郎「んっ、別にどれでも食べれんことにはならんやろ」

悠「カレーと味が違うだけだもんな」

福太郎「カレールーとシチュールーを5:5で入れたらカレーシチューなんやろかシチューカレーなんやろか」

悠「……それは難問だな」

クロ「どっちでもいいよ」

悠「よくねーよ!!」

クロ「語気を荒げて否定された……」

福太郎「カレーとシチューってなかなか高度な存在やね」

悠「これは物理学界にも関わる重要なテーマだな」

クロ「アホか……」

メリー「ねぇねぇ、じゃあハヤシライスはどうなるの?」

悠「あれはトマトベースで牛肉固定だ」

クロ「分かんねぇ……何を境界してるのか本当に分かんねぇ」

福太郎「でも、カレーが含まれた時点で味はカレーが支配するんよな。」

悠「闇鍋でめちゃめちゃになってもカレールー大目にブッ込めば食えるようになる感じか」

クロ「……そうなのか?」

メリー「そもそも闇鍋なんてしないし」

悠「靴下からいい出しが出る」

福太郎「しょっぱなから食べもんちゃうし靴下ってレベル高いな」

悠「タイツだと汁吸って吸ってして一瞬で全てを呑みこんでしまう文字どおりの闇鍋になる」

クロ「食いもんじゃねーから」

悠「最強はシマパン」

メリー「本当に食べてるの?」

悠「全部冗談だけどな」

福太郎「よかった。心の五割くらい悠ならあり得そうやって思ってしもたわ」

悠「福ちゃんたら冗談ばっかり」

クロ「冗談じゃねーよ」

福太郎「けど、シマパンて実際は見んよな」

悠「ウチではよく見かけるぞ。」

福太郎「悠の趣味で穿かせよん?」

悠「そこまで皆従順ではないわ。我が家でおれのヒエラルキーは低い位置だし」
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