第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「アツイ」

悠「おいおい、こんな真夏日のぶり返し聞いてないぞ」

恋「いよいよ天気が読めぬのう」

福太郎「洗濯物はしっかりと乾いとるんやけどね」

恋「それは良いことじゃな」

悠「乾く洗濯ものより、汗でぬれる洗濯物のが増える」

恋「どれだけワンパクなんじゃ」

悠「とめどない血と涙で渇いたのどを潤すくらい」

福太郎「全力で少年なんやね」

後楽「元気がいいなぁワカモンは」

悠「さも当然のように現れやがって……どうおって侵入した!」

クロ「……私の後ろについてやがった」

福太郎「なんというか……こういうときは後楽さんが大妖怪やないかと思うなぁ」

悠「いや、冷静に考えると……気配を消すのは借金取りに悟られないようにするためだと簡単に推理できる」

後楽「その通りだが?」

恋「誤魔化しもせんとは性根が腐っておる」

後楽「物事を後ろ向きに考えないようにしてるんだよ」

福太郎「なかなかの歪んだ前の向き方な事で」

悠「働け」

後楽「ほほっー、随分と直接的にいうようになったな」

恋「随分と前からいっておるがの」

後楽「まぁ、今日くらいいいじゃないかそういうことは」

悠「福ちゃん。」

福太郎「ん?」

悠「頭部にぶつけたら致命傷ないしは重傷を負わせられるようなものないかな」

福太郎「包丁か……ぶつけ方次第ではフライパンとかもあるけど」

後楽「おじさんは煮ても焼いても食べられないぞ」

クロ「確かに食えた奴じゃないな」

悠「味付け濃い目にしたら臭みも消える」

後楽「おい、兄ちゃん?何気に本気で料理しようしてないか?」

悠「狸鍋は初めてだが……美味くしてみるよ」

恋「目が死んどるぞ」

福太郎「SAN値ゼロやな」

後楽「いや、冷静にいってないでとめてくれよ。正気を失ってる兄ちゃんこえぇよ」

悠「いや、おれは至って普通だが?」

後楽「いつもの兄ちゃんに怖いこといわれてた!!」

福太郎「やるにしてもウチではやめてよ。スプラッタなんは隣に住んどる人でお腹いっぱいやし」

恋「恋もスプラッタは嫌いじゃ」

悠「仕方ないな……表でろ、普通にぶっ飛ばすから」

後楽「おいおい、おじさんは痛みを伴うプレイは嫌いだぞ」

悠「狸の狩猟……狸の狩猟……」

福太郎「狩る者の目やね」

クロ「よっぽイライラしてんだなありゃ」

後楽「いったい兄ちゃんは何にあれだけのストレスを溜めてるんだろうな……?」

恋「なぜ、そこまで他人事で済ませられるのか…ン手」

悠「狐と狸ってのは……ひとの話を聞けない動物なんだろうか…」

後楽「聞きたくないことを聞かないようにするってのは大事だぜ」

悠「うん、ブチころがす♪」
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