第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋の前ー

福太郎「ふんふんふーん……ん?」

悠「ガッガッガッガッ」

福太郎「わぁ……。ひとン家の前でタコ焼きほお張っとるそとがおる」

悠「むぐむぐ……銀ダコ喰う?」

福太郎「おおきに……やなくて、なにしとるん?」

悠「じゅぎょーが終わったから顔見に来たんだけど、閉まってるからここで待ってた。こういうときすっきーが物質に触れないの不便だな。あと、せめて会話ができたらドア越しにトークしてたのに」

福太郎「なるほど、まぁ、鍵開けるけん入りや」

悠「お邪魔死魔馬」

福太郎「なんや不吉なこといわんといてや……。」

すっきー『おかえりなさいっス……あー、やっぱりチャイムを連打してたのは悠さんでしたか』

福太郎「また、十六連打したんやな」

悠「すっきーか?」

福太郎「せやで」

悠「おしゃべりっ霊め。どこだ、揉み倒してやる」

サッサッサッ!

すっきー『ちょ、ぜ、絶対このひと見えてるスよ!』

悠「当たった?」

福太郎「いや、当たっては無いけど器用に肩ひもに当たってズラせとる」

悠「見えないし、何の反応も感じないから楽しくない……」

すっきー『だったらすんなーーっ!!』

悠「銀ダコ食おうぜ」

福太郎「せやね」

すっきー『うぅ……ツッコミすら無視された。』

悠「そういや、すっきーってメシ喰うの?」

福太郎「あ、そやそや。触れんけん食べられへんらしいんやけど……。悠君、なんか方法ない?」

悠「方法って……おれは霊に対しては知識ない……事も無いか」

すっきー『どっちなんスか』

福太郎「どっちやねん」

悠「まぁでも……お供え物とか風にしらた食えるんじゃないのか?」

福太郎「お供え物かぁ……。」

悠「例えば……白飯をこうお茶碗に盛るだろ」

福太郎「ふんふん」

悠「っで、すっきーの前に置いてくれ」

福太郎「こう?」

すっきー『?』

悠「っで、この箸を……飯の上にぶっ刺す!」

ザクッ!
すっきー『ちょっ?!』

福太郎「なるほど。まさに、お供え物やな」

すっきー『ちょっとー……』

悠「どうだ?喰ってるか?」

福太郎「いや、こっちにらんどる」

悠「ふむ。じゃあ、頭掴んでご飯に押しつけて見てくれ」

福太郎「そんな性癖ないなぁ」

すっきー『アンタらぁ~……。』

悠「揺光によると幽霊は身体的変化は起こらないから腹は減らないらしい。それで、直接食べれる訳じゃなく、食べ物の魂みたいなのを食べるらしい。だから形そのものはそこに残る。つまりは味や食感だけをおいしく食べるらしい……」

福太郎「……どゆこと?」

悠「おれも理解はしてない。だけど、大食いの幽霊とかも居るらしいから食えるんじゃないか?とりあえずこのご飯でチャレンジしてみろ。」

すっきー『……それでどうしろと』

福太郎「お、押しつけてみよか?」

すっきー『やめてくださいっ!!』
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