第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

悠「寒い」

福太郎「寒い?」

悠「夜になると寒くない?」

福太郎「んー……まだ、そこまでゾンとこんけど日が暮れるんは早なったとは思うかな」

悠「やだわぁ、わたしぃさむいのぉ、ちょーにがてなのぉ」

クロ「キモウザイ」

悠「クロはいいな……毛皮あるし」

クロ「毛皮じゃない!」

福太郎「せやけど、夏場はごくアツやし」

悠「とりはずし効かないもんな……」

クロ「だから、毛皮扱いすんな」

悠「基礎体温もやっぱり高いのか?」

福太郎「さぁ、気にしたことないけど」

悠「そうか……クロ、ちょっとおいで」

クロ「両手広げて何の真似だ」

悠「おれは抱きしめた相手の体温、バスト、ウエスト、ヒップ、性感帯の位置が分かる」

クロ「嘘だろ?」

悠「ああ、嘘だ。ただ抱きつきたいだけ」

クロ「このゲス野郎」

福太郎「悠やからあながちできんことない気がしたんやけど」

悠「バストサイズと下着の色くらいならひと目で分かる」

クロ「なんて不要な分析の目だよ」

悠「いや、おれの下着あての成功率が70%前後……とある女は100%の眼力を持つんだが」

福太郎「偶然やないの?」

悠「いや、あれは本物だ」

クロ「どっちにしろ不要すぎる能力だな」

悠「おいおい、時間停止能力張りに強力な能力だろ」

福太郎「THE・ワールドとスタープラチナが目剥いて驚きそうな発言やな」

悠「素晴らしい能力だと思うんだけどな」

クロ「変態の極みだろ」

悠「何かを極めるってすごいことだよね」

福太郎「ものによるけどな」

悠「福ちゃんは、そーいうのお嫌いかな?」

福太郎「全然」

クロ「うぉい!」

悠「男の子だもんな」

福太郎「男の子やからね」

クロ「ダメ男どもめ……」

悠「後楽と一緒にしないてだくれ」

福太郎「ダメ男の代表の方なんやな彼」

悠「アレだけダメな生き物をおれは他に見たことない」

福太郎「そうかもしれへんけど」

メリー「ご主人様も容赦ないね」

福太郎「いやー、なんていうか離れて見とる分には感心してまうんよ?あのひとの生きざま」

悠「真近くで関わり合いになる方は殺意しか産まないんだけどな」

クロ「その理由はよく分かるけど……お前がアレを野放しにしてる理由も分かんねぇ」

悠「だから、うちの娘が懐いてるから仕方なくだよ。総すかん食らってたら皮剥いで木端微塵にしてやってる」

福太郎「皮剥ぐ理由は?」

メリー「嫌がらせじゃない?」

クロ「お前らも発言が怖いよ」

悠「毛皮は売れるかもしれないだろ」

クロ「酒くさそうで毛並みもボロッボロな気がするけどな」

悠「……それは盲点だった」

福太郎「クロの毛並みは堅いしな」

クロ「私を数に含むな」

悠「揺光の尻尾は恐ろしいくらい柔らかいから戻って来れなくなる可能性がある」

福太郎「それ以前に揺光さんの尻尾やヘタに触れれんのとちゃう?」

悠「頼めばわりと触らせてくれるぞ」
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