第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んー……」

クロ「あっ、起きた」

福太郎「ふぁぁ……俺、いつのまに寝たんやっけ」

すっきー『本読んでていつのまにかっすよ』

福太郎「そか……ほんで、今何時?」

クロ「夕方だよ」

福太郎「そっか。ほんならー……夕飯の準備せなあかんなぁ。なんにしょーか……」

クロ「なんでもいいよ」

福太郎「鍋かラーメン……んー、よし。鍋しよう」

メリー「随分あっさり決めれるのね」

福太郎「こういうんは直感的に思ったもんにしたほうが余計に悩まんでええんよ」

クロ「ただの飯の話しだろ」

福太郎「大切なことやん」

クロ「まぁ、そうだけどよ……」

福太郎「それに中途半端にあまっとる食材を一括に使えるし」

クロ「なんでもブチ込む気かよ」

福太郎「冷蔵庫次第やな、なにがあったかな……冷凍餃子とシューマイはいれてええな」

メリー「キャベツは?」

福太郎「千切りにして巻き野菜として食べたらおいしいで」

クロ「おい、せめて肉買って来てくれよ」

福太郎「ほんなら、クロひとっ走りよろしゅう」

クロ「えー、私がかよ」

福太郎「こっちのことはしょーるし、ついでにツミレ作る用の生姜と鶏挽肉と……あとコンロのガス」

クロ「ちょっとづつ増やすな!」

福太郎「とかいいつつ、買いに行くんやから素直やなぁ」

すっきー『犬だからっすかね』

福太郎「それ、あとで伝えるな」

すっきー『福さんは私を落としこむのが趣味なんスか?』

福太郎「まさか、でも……」

すっきー『でも?』

福太郎「すっきーの反応見るんは好きゃな」

すっきー『この天然S!』

コンコン!

福太郎「ん?はいはーい?」

りんね「こんばんわぁ」

由乃「こんばんわです」

福太郎「んっ、二人ともどうもどうかされました?」

りんね「昔の教え子から地酒が送られて来たからおすそわけよ」

由乃「私は父の実家からたくさんのキノコが届いたのでおすそわけです」

福太郎「んー、そらおおきに。それにしてもキノコと地酒……ふたりともこの後、時間平気?」

りんね「私は全然大丈夫よ」

福太郎「いや、今夜鍋にしょーと準備しよるんやけど良かったら夕飯いっしょにどうやろか思って」

りんね「あらぁ、いいわね。じゃあ、私もお手伝いしちゃうわ」

由乃「ええと……本当にごちそうになっていいんですか?」

福太郎「ええよ。ちょっと狭いんが堪忍やけど」

りんね「狭くていいじゃないぎゅぎゅうになりながら鍋をつついて、身体も突き合って……うふふ」

福太郎「りんねさん、腐敗とか平気なんやろか」

りんね「んふふふっー、どーいう意味ですか?」

福太郎「いやいや、気にせんといてください。どーぞ」

りんね「お邪魔しまーす」

由乃「じゃあ私、飲み物買ってきますね」
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