第参夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ぴっ……ぽん!

福太郎「はい?」

悠「ちぇきっす。これどうぞ」

福太郎「んっ?えっ?なにこれ?」

悠「小鳥遊堂の月見団子と月見饅頭のセット。んじゃ」

福太郎「待った、待って」

悠「どした?」

福太郎「いやー、何かいきなりすぎて「今北産業」状態なんやけど」

悠「中秋の名月。おれの店の宣伝。お月見楽しんで。月光蝶であーる!!」

福太郎「四やったけど、要約すると中秋の名月やから悠のお店の商品でお月見を楽しめ、と?」

悠「そういうこと」

福太郎「そら、嬉しいけど……タダでええの?」

悠「うん、食べてくださいな。」

福太郎「おおきに。それともう一つあがってかんの?」

悠「まだ配るところがあるんだ。今度お邪魔するよ。じゃ」

福太郎「ほな、気つけて」

クロ「なんだ、悠のヤツ帰ってのか?」

福太郎「んっ、お月見団子と饅頭持ってきてくれただけみたいや。みんなでたべよか」

メリー「やったー!」

福太郎「由乃さんもまだ時間ええんやったらどうぞ。りんねセンセも」

りんね「あら、じゃあ遠慮なく」

由乃「小鳥遊堂……聞いたことない和菓子屋さんですね」

福太郎「正確には茶屋やな。」

由乃「そうなんですか。わっ、このお饅頭兎の形で可愛いですね。」

りんね「(お饅頭……京都だとおまん……うふふふっ)」

福太郎「センセ、なんや妙なこと考えとるやろ」

りんね「な、なんでっ?!」

クロ「ヨダレ……っていうか、血が垂れてんだよ」

りんね「あらヤダ、私ったら……///」

すっきー『血を流しながら照れるって怖いっすね』

クロ「っていうか、なんで流血してんだよ……」

福太郎「ぼーっと舌でも噛んでししもたんちゃう?」

クロ「ぼーっと噛むってなんだ……」

由乃「ウェットティッシュどうぞ」

りんね「ありがとう。」

福太郎「メリーちゃんも、はいどーぞ」

メリー「悠の作る、お菓子は美味しいよね。」

福太郎「剣も作るん上手やん」

すっきー『福さんも細かいの得意じゃないっすか。だから、お菓子もつくれるんじゃないっすか?』

福太郎「んー……あんまり、繊細なんはちょっと無理かなぁ。この饅頭や団子やっていっけんしたら普通やけど作るとなるとなかなかてまいやろし」

りんね「私もホットケーキとかくらいなら作れるけど本格的なのは無理かな」

由乃「私も同じですね」

クロ「そう考えたらアイツがこういうの作れるって……なんか嫌だな」

福太郎「いやって……酷いなぁ」

クロ「どうもな……普段のアイツ見てると素直に認めたくない」

りんね「あら、悠ちゃんは素敵じゃない。あんなのに殴られたらと思うと……ゾクッとしちゃうし」

福太郎「せんせ、なんやおかしいっすソレ」

由乃「あの……どなたの話しなんですか?」

クロ「変なやつの話し」

メリー「変態の話し」

すっきー『突いてくる人の話っす』

りんね「逞しい子の話しよ」

福太郎「友達の話し」

由乃「……みごとにバラバラ」
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