第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「おー……なかなかゴツイ雨やな」

クロ「わっ、窓開けてみるなよ!吹き込んでくるだろ!」

福太郎「んっ、ごめんごめん」

メリー「でも、台風ってすごいのね。こんな雨みるの初めて」

すっきー『これは明日まで降りそうっすね』

福太郎「昨日の間に買い物しといてよかった。こないな雨ん中は出ていけんで」

クロ「どっかのバカは雨の中走り回るそうだけどな」

福太郎「多分何かを呼びこむか取り込むかしよんやろう」

すっきー『だとしたら本当に人間の枠を飛び越えちゃってますよ』

クロ「人間かどうかも怪しい」

福太郎「しかし、こうなったら暇んなるなぁ」

メリー「なにかして遊ぶ?」

福太郎「読書かな」

クロ「暗ぇよ」

福太郎「休日を読書で過ごすやなんて優雅やん」

すっきー『福さんは別に休日じゃなくても夕食後はほとんど読書で過ごしてるっすけどね』

福太郎「ほんなら……すっきーが一発芸」

すっきー『嫌っすよ!?なんなんすかその雑な無茶振り』

クロ「やれよ」

すっきー『クロさんまで……』

福太郎「ほんなら、先クロからいこか」

クロ「なっ……よぉし、じゃあ、コックリさんしろ。なんでも応えてやる」

福太郎「……」

クロ「なんだよ」

福太郎「いちいち準備せんといかんの?」

クロ「もちろんだ」

福太郎「現れとるのにコックリさん、呼ぶいうんもどーなんやろ……」

メリー「やってみようよご主人様」

福太郎「まぁ、ええけど……よいしょ五十音書いた紙と10円玉」

すっきー『準備いいっすね』

福太郎「こっくりさん、こっくりさん、どうぞ、現れください……」

ボン!

後楽「ヒック……おぉぅ?」

福太郎「しもた……アルカホリック淫獣が召喚された」

メリー「なんでおじさんが来たの?」

クロ「狐狗狸だから、狐、狗、狸なんだよ」

後楽「なんだぁ?家飲みしてたら……なんで、兄さんの家に?」

福太郎「すんません、狐狗狸さんしとったらなんか呼び出してしもたみたいで」

後楽「なんだよ、おじさんにそんな会いたかったのか。人気者で辛いなぁ」

福太郎「お帰りください、お帰りください」

後楽「そんな全力で10円玉を酉居に押し付けんなって」

クロ「いいから帰れって」

後楽「こんな雨の中に放りだすのは人の業じゃないぞ」

福太郎「ここにおるんは俺だけが人やけどね」

メリー「同じように帰れないの?」

後楽「兄ちゃん(悠)がコックリ(呼び出し)してくれたらかえれっけど……してくれねーだろーしなぁ」

福太郎「まぁ、非はこっちにあるし雨がやむまでおってください」

後楽「そうかいそうかい。じゃあ、呑もうぜ」

クロ「アルカホリック破戒僧め……」

後楽「酒は百薬の長だぜ」
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