第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「せやけど、この写真がなんか?」

後楽「兄ちゃんらはこの娘口説けるか?」

悠「……無理かな。」

後楽「ほら、贅沢だ。というか、ダメだな」

福太郎「んっ、というと?」

後楽「おじさんは品があって好きだぜ。それに勘違いしてるようだが俺は美人だけが好きじなわけじゃないし」

福太郎「意外やなぁ。てっきりいまどきの美人にだけ手ぇ出すんやと思ってました」

後楽「それ、ただの「最低な人」じゃないか!おじさんを何だと思ってるんだ」

悠「最低な人」

後楽「あのなこちとら何百年と前からヒモやってるプロのニートだぞ。守備範囲舐めるなよ」

福太郎「何百年レベルのニートはホンマにプロやな」

悠「最低の人じゃなくて最低のクズだったな」

後楽「まぁ、そりゃ「どの時代でも割とウケる美人」は大好きだけどな」

@左右対称のパーツ
@ほおが紅く色白で肌が綺麗
@芳しい
@守ってあげたい
@やせ過ぎず、太すぎず
@etc.

悠「おれ的には色んな方向で好みが分かれてるからこれだけっては言えないけど該当する部分もあるな」

後楽「ということで、おじさんはこの写真みたいな「流行りの美人」もいいと思うんだ」

福太郎「「流行り美人」ってたかだか30年でも「マジか」って差があるもんね。まして1000年じゃ骨格の流行すらちゃうし」

後楽「つまりな、兄ちゃん男前ってのは女なら幼女老女醜女関係なく女として扱うことだぜ」

悠「おまえは全力で最低だというのは今の今のでハッキリしたのは確かだ」

福太郎「せやけど、まぁ、そういう意気込みこそがある意味博愛主義いうんかもな」

悠「いや、福ちゃん違うって、この狸は好み云々でなく見境がないだけだ」

後楽「失敬な。だがまぁ、正直、おじさん性別が女性ならそれでいいんだけどね。男(ヤロー)に関しては「居る」としか認識してない。」

悠「その居るという認識でしかしかないおれの家に上がり込んでるのかこの野郎。本気で八つ裂きにしてやろうか」

福太郎「その線やと俺も認識されとるだけで来られよんやな」

後楽「かっかっか、まぁまぁいいじゃねーか」

悠「全然良くはねーぞ。ボケ」

福太郎「あっ、せや、それより気になったんやけど」

後楽「なんだ?おじさんのモテる秘訣?」

福太郎「さっき、今は天人しとるいうてはったけど、かぐや姫って結局なんなん?」

後楽「天女だ。ちなみに昔の人が「月」って言ってたのはアレは天の「高天原」に帰ったんじゃないかな。竹取物語の最後で彼女は帝に不老長寿の薬を送るがアレは多分金丹だぜ」

悠「歴史の物語をやすやすと紐解けるおまえがつくづく妖怪なんだなと思う」

後楽「そんなこといったら揺光なんか九尾だぜ」

福太郎「話し聞いて伝記でも書いたらリアルバージョンで売れるかもね」

後楽「おっ、いいね。兄ちゃんが文章、っで兄さんが挿絵、んで印税でおじさんを養ってくれ」

悠「書かねぇし、おまえを養う義理はない。ハロワ行け」

後楽「おじさん、プロのニートだから」

悠「理由になってねーから!」

メリー「そもそも男前になる話しはどこに消えたの?」

福太郎「んー……多分富士山に捨ててきたんとちゃうかな。竹取物語だけに」

メリー「……どういうこと?」

福太郎「んっ、これまたラスト場面なんやけど竹取物語の最後でかぐや姫は帝に不老不死の薬を贈って……そっから、悲しんだ帝は富士山でそれを燃やすんよ」

メリー「へぇー、そうなんだ。」

後楽「兄さんはもの知ってんな」

悠「おれだってそのくらいは知ってるよ」
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