第壱夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

ピンポーン!ピポ!ピポ!ピポ!ピポ!ピポ!ピポーン!

ミツバ『ふゃっ?!』

福太郎「……悠君、ひとン家のチャイム16連打するんはやめてくれへん?」

悠「次からは溜め撃ちにしようか?」

福太郎「タメウチ?」

悠「こう……」

ピン……ポーン!

福太郎「わかった……チャイムで遊ぶンはやめて」

悠「だが断る!」

福太郎「ジョジョかー。ストオーまでは読んだで」

悠「ストーンオーシャンをストオーって略す人初めて見たわ」

福太郎「ところで入らへん?」

悠「おっじゃましまーすっ……っで、ミツバたんほっかーく!」

ミツバ『ふぁ?になっーーー!』

悠「へっへっへ、覚悟しろ。頭ほふほふしてやるからなぁぁぁ!」

福太郎「なんで悪モノ風やねん……。お茶でええかな?それかコーヒー?」

悠「なんでもいいよ。アルコールがあれば更に良いかな」

さわさわさわさわさわ……
ミツバ『ふにっ…みゃ……ふゃ~~』

福太郎「ほな、発泡酒な」

悠「マジで出してくれた。」

福太郎「いや、わざわざ尋ねてくれとるし、俺も飲むし……ミツバが溶けとる」

ミツバ『すぅすぅ……。』

悠「この子、よく寝るのな」

福太郎「テクニックが半端ないだけやないかな」

悠「それでどうだ?異常は無いか?」

福太郎「問題なしやな。ルーミアも夜中に帰れたみたいやし」

悠「って、ことはリアルでこの絵は異次元トンネル化してるんだな……」

福太郎「せやね……。」

悠「都市伝説の方はどうだ?」

福太郎「ちょこちょこネットや本とかで見てはみたんやけど……どーやって探したらええかとか分からんのよな」

悠「あー……確かにそうだよな。あ、でも、隙間女とかだったら、居るんじゃね?」

福太郎「確か……一人暮らしの青年が部屋の中で視線を感じた気がして。見渡しても、部屋の中には自分しか居らん。そのときは気のせいやと思った青年やけど、その日以来、ずっと部屋の中で誰かに見らとる気がして部屋に誰か隠れとらん探しても誰もおらん。ふと部屋の隅の箪笥に目をやったら、箪笥と壁の間のほんの少しのすき間に、女が立ってこちらを見てた。って奴やな」

悠「そーそー、案外いるんじゃね?」

福太郎「まさかぁ、ここの家賃がめっちゃやすいけんておるわけ無いやろ~」
チラッ

隙間女『ジィ~~~!!』

福太郎「あ、居る」

悠「てゐ。」

サクッ!
悠君は壁とタンスのすき間に貫手を放ちました。

隙間女『ぎゃ!』

悠「てゐ!」

ドスッ!
隙間女『ちょ!』

悠「てゐ!!」

ガスっ!
隙間女『痛い!やめて~~!』

福太郎「悠君、そのへんで……めっちゃ泣き声やし」

悠「あ、そうなんだ。見えてないし聞こえないから……当たってるみたいだな」

福太郎「見えても聞こえても無いのにやってたんかい。」

隙間女『ひーん、ひーん……!』
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