第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「気になっとったんやけど……なんでここ最近、家で屯ってますのん?」

後楽「え、あー、そんな喜ばれるとおじさん照れちまうぜ」

福太郎「どないしょう。俺とあの人との間に謎のフィルターがあるみたいや」

クロ「アイツの耳が腐ってんだよ」

福太郎「なるほど」

後楽「納得されたらおじさん悲しくなるなぁ」

福太郎「ほな、なんで来てはりますの?」

後楽「いやぁ、兄ちゃんの家に居ると子守させられるから」

福太郎「悠の家におるんて女の子やろ?後楽さん大好きですやん」

後楽「好きだけどあの家の娘に手を出すと兄ちゃんがマジでキレるだろ?このまえちょーっと全裸でうろついてただけでタイガードライブ91されて死にかけたし」

クロ「死ねばよかったのにな」

後楽「なにが駄目だったんだろうか」

福太郎「全裸」

後楽「馬鹿野郎、人間は生まれた時はみな全裸だろ。夜の布団の中だって全裸じゃねーか」

福太郎「終いにはホンマに殺られますよ」

後楽「……頑張ればなんとかゆうのお姉ちゃんとヤレないかと模索してんだが」

福太郎「知らんけどどっちも悠なんやし結局殺られると思うんやけど」

悠「別に合意の上でならおれだって邪魔しないけど……ウチでヤルな。教育上よくない」

福太郎「んっ、いらっしゃーい」

悠「ちぇきっす」

後楽「おう、兄ちゃん。いっぱいやろうぜ」

すっきー『もはや気配なく入ってきても全員スルーっすか……』

悠「ごめんな、福ちゃん。こんなのが邪魔して」

福太郎「いや、別に大人しいしとる分には居られてもええんやけど……」

クロ「私は嫌だ!」

後楽「ほら、歓迎してくれてるんだよ」

クロ「全力で拒否ってんだろ!」

福太郎「まぁまぁ」

クロ「なんでお前は私をいさなめてんだよ!アイツになんかいえよ!」

福太郎「なんか」

クロ「お前もときどき腹立つな……おい、メリーも嫌だろ」

後楽「お嬢ちゃん、金平糖あげよう。」

メリー「わーい!」

クロ「ちゃっかり買収されてんなよ!」

福太郎「んっ、しかもこの金平糖、メリーちゃんように細かぁなっとる。」

悠「しかも一個一個綺麗だな。ただ砕いただけじゃなくて」

後楽「あぁ、これは金平糖のトゲの部分だよ。袋ん中でこすったら折れて簡単に出来上がり」

福太郎「こういうことには努力をおしまんのやね……。」

後楽「おじさん、女の子のためには頑張れるよ。デート資金だってほらこの通り」

悠「いつのまに財布取りやがった!返せ!」

後楽「おいおい、兄ちゃん。その財布はおじさんのだぞ。」

悠「あー?……あっ、確かにおれのはポケット入ってる」

福太郎「でも、これ同じもんやん」

後楽「そうだぜ。これですり替えてもバレないようにしてるんだ」

悠「薄い本ばりの腹パン、ドーンっ!」

後楽「ゴフッ?!」

福太郎「こーいう部分を別に生かしたらええのにな」

クロ「それが出来てたらこんやヤツになってないっての」

メリー「おじさん動いてないけどいいの?」

悠「福ちゃん、足持ってくれ。窓から捨てる。」

福太郎「うちの前に狸の死骸投棄はちょっと困るなぁ」
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