第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

後楽「おいちゃんと、デートしないか?」

クロ「絶対に嫌だ」

悠「なんだったら結婚して引き取ってくれてもいいぞ。この狸」

福太郎「そんな大きな負債は引き取れんよ」

クロ「私の気持ちも考えろっ!!」

後楽「おじさん、結婚したら真面目になるよ。ホント」

悠「そのセリフ。おれの半身にもいってたな」

福太郎「あぁ、ゆうがするん?おめでとう」

悠「アイツがナニと結婚しようがどうしようが構わんが、コイツとだけは絶対に許さん、絶対にだ」

後楽「なんだよぅ。真面目になるっていってんのに、まぁいいや、デートしようぜ」

クロ「しねぇってんだろっ!お前らも将棋とオセロを同時対戦してないでこいつどうにかしろ!」

悠「真剣勝負だぞ!」

クロ「知るかっ!」

福太郎「デートって資金はあるん?」

後楽「ふっふっふ、今日はパチンコで三万勝ったんだよ」

福太郎「へぇ、なかなかええですやん」

後楽「七万ツッコンだけどな」

悠「大負けしてんだよ!それは!」

メリー「なんでおじさんはお仕事しないの?」

後楽「働かないのがおじさんの仕事なんだよ。クロと同じさ」

クロ「いっしょにしてんじゃねーぞ!!古狸!剥ぎ取って毛皮にしてやろうかゴラァ!!」
メリメリッ!!

悠「おー、マジギレしてる」

すっきー『よっぽどいっしょにされるのが嫌だったんすね』

福太郎「クロ、変化が解けて本性が出て来よるで」

クロ「ガルルッ!」

悠「やっぱり犬のが本体なんだな」

福太郎「人犬っぽうなるんちゃう?」

クロ「せめて人狼っていえっ!!」

福太郎「それと……一応、クロは歪業やる方向やから仕事はきまってまっせ?」

後楽「マジか。ならお祝にデート行こう」

クロ「どこまでも食い去るぞこのジジイ」

福太郎「もうしてあげれば?」

クロ「うぉい?!」

福太郎「社会不適合者やけど……顔はイケメンやん」

後楽「はっはっは、カッコいいなんて照れるじゃないか」

すっきー『都合が良いところしか聞いてないっすね』

悠「福ちゃん、それいっちゃダメだ」

福太郎「ん?」

悠「おれはあのおっさんがジゴロで顔がちょっと良いって部分にもの凄く殺意が沸くから」

後楽「兄ちゃんもその髪型やめたらいいと思うぜ。まぁ、おじさんよりかは下だが」

悠「……」

福太郎「悠、イーゼルを掴んで持ち上げんといて、それは撲殺用の道具やないから」

悠「ちくしょぅ!どうせその姿だって化けてるからだろっ!本当はグロい妖怪姿なんだろ」

後楽「いや、グロい妖怪すがたっておじさんは狸だからね。めっちゃ愛らしいぜ。見せてやろうか?」

福太郎「ちょっと見てみたい」

後楽「なら、いくぜ……!」

ドロン!
狸の置物とビックフットを足して二で割ったようなやたら筋肉質で不気味な狸が現れた。

悠「今すぐその姿を辞めないと心臓を穿つ」

ドロン
アニマル後楽「ぉっと、ミスったこっちだ」

福太郎「おー、今度は普通に狸やな」

アニマル後楽「この姿だとお姉ちゃんらに抱っこされたり撫でられたりし放題だぜ?ぐへへ」

クロ「本性は見事に淫獣のままだな……」

悠「結局は後楽だしな……」
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