第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

後楽「おじさんのお世話もしてくれねぇかな?」

福太郎「……んー?」

後楽「いや、兄ちゃんは歪業しはじめたそうじゃねーか。噂に聞いてるぜ」

福太郎「ええ、まぁそうやけど」

後楽「だったら、おじさんの世話もしてくれ」

福太郎「……アルカホリックを治すために更生施設に連れていってハローワークを往復させたらええの?」

後楽「おいおい、そんなのは世話じゃなくて死刑たぜ?」

クロ「やかましいぞクソ狸」

後楽「兄ちゃんみたいなツッコミいれてくれるなよ」

クロ「いっしょにするな、そもそもそのお前の飼い主の悠はどうした!」

後楽「兄ちゃんだったら……朝金もらおうとしたら俺のこと殴って二度寝してたぜ。ひでぇよな」

福太郎「一見酷いようやけど、全然非道やないよな。ひととして当然の行動」

後楽「おい、勘違いするなよ。おじさんは仕事するためのお金をもらおうとしたんだよ」

福太郎「……仕事ってなーに?」

後楽「パチンコにきまってらぁ!」

すっきー『仕事じゃねーっすよ』

後楽「データの収集と打ちこみだよ」

福太郎「玉の打ちこみやけどね」

後楽「ふふん」

クロ「なんでこんな奴がこの世にはびこってるんだろうな」

後楽「そりゃ、おじさんカッコいいから」

クロ「うっせーよ」

福太郎「まぁまぁ、落ち着いて」

クロ「なんで、お前はお前で仲裁してんだよ」

後楽「暴力は良くねーぜ。何事も話し合いでだな」

悠「いいや、お前には拳を通じてでないと会話が出来ないみたいだな。なぁ、このニート狸」

後楽「おっと兄ちゃんなんでここに……はっ、もしかしておじさんのことを心配してか?参ったなこりゃ」

悠「意味の分からん脳内変換してんじゃねーぞ。起きて話聞いてみたら駒裡さんから金せびってでていったそうじゃないか!」

後楽「駒狸ちゃんは優しいぜ。昼ごはん代を出してくれるんだから」

悠「死にさらせ!!」

ゴッ!

福太郎「すごいなぁ、移動する先々でお金借りていくんやから」

クロ「凄い馬鹿だどな」

悠「福ちゃん、迷惑掛けたようで」

福太郎「ん、ええよー。お金貸してないし」

後楽「これから貸してくれるんだよな」

悠「てめぇは駒裡さんからせびった分をだせ!」

後楽「すまねぇな。あれはもう先行投資しちまって」

福太郎「つまりもうスッてしもたと」

後楽「いやいや、未来への投資だよ」

悠「お前の未来は死だよ」

後楽「諸行無常盛者必衰だぜ」

福太郎「急に僧っぽいこというてもなぁ」

悠「アルカホリック破戒僧だよコイツは」

後楽「なはは、それより折角だし皆で飯食いに行こうぜ飯」

悠「それよりじゃねーよ!!なにより金ねーんだろっ!」

後楽「ここは稼ぎに乗ってる福太郎君に奢ってもらおう」

福太郎「わぁ、平然と奢る流れに持ち込まれとる」

悠「狸鍋にしてやろうかコイツ」

クロ「こんなの食いたくねーよ」

後楽「おじさんも食べられるより、食べる方が好きかな女体を」

悠「おれだってそうだよ!」

福太郎「いや、そーいう話しちゃうやろ」
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