第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー百鬼襖の部屋ー

福太郎「ここに百鬼襖があるんで、これから備品持ってきてくれる時はこっちに運んだってください」

由乃「わかりました。」

福太郎「あとは……まぁ、俺より大車さんのがよう知っとると思うけんケースバイケースでようしたって」

由乃「そんな、私もペーペーですって」

福太郎「んっ、まぁ説明はこの辺にしてお茶でもどう?昨日知り合いが菓子もってきてくれてたくさんあるんよ」

由乃「じゃあ……いただきます」

福太郎「んっ、ほな俺の部屋にいこか」

由乃「はい」




ー福太郎の部屋ー

福太郎「はい、どうぞ」

由乃「いただきます。」

クロ「……」

由乃「なにか?」

クロ「アンタはアレだなその姿が基本なんだな。半妖って言ってもほぼ人間か?」

福太郎「コラコラ、失礼なこと言わんの」

由乃「いえ、大丈夫ですよ。クロさんの言っているとおり私は生まれた時から人間の姿ですよ。」

クロ「やっぱりな匂いがほぼ人だ」

福太郎「ほな、メリーちゃんは?」

クロ「あれは無機物だろ」

メリー「誰が無機物よ!」

由乃「あの……」

福太郎「ん?」

由乃「御堂さんはどうして歪業をしようと思ったんですか?」

福太郎「んー……やろうと思った理由は……メフィストさんて知っとる?」

由乃「あ、はい。メフィ先生なら昔英語の授業でお世話になりましたし」

すっきー『あの人って本当に英語教諭だったんすね。胡散臭いだけでなくて』

福太郎「あのひとに半ば脅迫されてやることになったんよ。」

由乃「……え?そ、それだけですか?」

福太郎「んっ、そんだけ」

由乃「……」

福太郎「ごめん、なんか期待とちごうた?」

由乃「あ、いえその……」

クロ「正直に言っていいぞコイツ本当になにいっても軽く流すから」

福太郎「そんなことないよ。」

由乃「でも、えーと……平気なんですか?」

福太郎「平気って?」

由乃「脅かすつもりじゃないですけど、怖い妖怪とかが来るかもしれないんですよ?」

福太郎「んー……そら、怖いな」

由乃「っ……」

福太郎「せやけど、こっちに来るいうことは働きたいとか現世で暮らしたいとかそーいう理由があってくるってことやし、意思の疎通ができるんやったらなんとかなるとちゃうかな」

由乃「……」

クロ「まぁ、人を食う目的を堂々と宣言してくる奴は居ないだろうけど」

福太郎「せやろ。それにホンマにやばぁなったら俺は逃げるし」

クロ「逃亡宣言かよ」

福太郎「そんときは任せたで」

クロ「この野郎……」

由乃「……」

メリー「ご主人様はこんなだけど、悪い人じゃないのよ?」

由乃「そう。うん、分かったわ、そう思っとく」

福太郎「んっ、悪いか悪うないかはこれから適当に判断したって」

クロ「本当に全力で適当だな」
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