第弐夜『福太郎の不思議な日常』

ー福太郎の部屋ー

福太郎「んっんん……頭痛っ……ん?なんやこれ」

自分の胸板にのってるものを持ち上げる。足だ。人の足。

萃香「うぅっ~ん……」

福太郎「……伊吹ちゃんの足か」

こそばしてみる。

萃香「うっ、ううん、うーん……」

福太郎「起きんもんやな」

左手で足首を掴んで右手で足の裏を圧迫しながらグリグリとマッサージの要領でまわした。パキパキと軟骨が鳴る。

萃香「うぅぅ……うぅぅん……」

福太郎「まったく起きんなぁ……よっと。」

萃香「ぐうぅぅ……すぅぅぅ……」

福太郎「えーと、昨日は結局宴会モードに入って……うちにある酒類がなくなったところで……そうや、伊吹ちゃんがもっとったヒョウタンの酒を貰って飲んで……落ちたんやな。」

萃香「ぐぅー、ぐぅへへ……」

福太郎「……水のも」

クロ「うぅぅ……」

福太郎「……居らんとおもたら台所で死んどったんや」

クロ「鬼とはもう酒のまねぇ……」

福太郎「鬼とはいうか鬼のもっとう酒は飲まんていうんが正確ちゃう?あ、水飲む?」

クロ「みずくれ~」

福太郎「んっ、置いとくで」

ずりずり……
クロ「んっんっ……はぅ~……」

福太郎「もうちょっとシャンとしなよ」

クロ「うるせー、先に寝ちまったお前には分からないだろうけど私はあのあとまだまだつきあわされたんだぞ」

福太郎「そらご苦労さん」

クロ「がるる」

福太郎「んっ……んー、でも俺も頭いたいわ。これ二日酔いやな……ウコンあったかな。」

クロ「水おかわり」

福太郎「起き上る気ゼロやな」

クロ「足腰たたねぇんだよ」

福太郎「威張っていうことちゃうから、それ。はぁ、しゃーない向こうにはこぼか」

クロ「待てよ、抱きかかえるつもりじゃないだろうな」

福太郎「俺は成人ひとり抱きかかえるんはでけへんよ。やから……引っ張ってく」

クロ「って、おい!」

ずりずりずりずり……

福太郎「よいしょっと」

クロ「この野郎……!」

メリー「ご主人様、おはよー」

福太郎「んっ、おはよ。メリーちゃんはのんでなかったんやっけ」

メリー「危なそうだから避難してたわ」

福太郎「賢明やな。すっきーは?」

メリー「萃香に玩具にされてた」

福太郎「うん、いつも通りやな」

すっきー『違うでしょ!酷いっすよ!萃香さんの相手を私とクロさんにおしつけるなんて!』

福太郎「押し付けたわけちゃうよ。気ぃついたら意識がとんどっただけや。おかげで今も頭がシンシンと痛い」

すっきー『それは……ご愁傷様っス』

福太郎「幽霊にご愁傷様とかいわれるとは…」

クロ「あー、暑い……だるぃー……エアコン強めてくれ」

福太郎「だらしないなぁ」

クロ「そこで寝てる鬼だって似たようなもんだろ!」

萃香「うひゃひゃひゃ」

福太郎「笑いよる……」

メリー「笑い方、怖っ……。」

福太郎「しかも一升瓶抱えて寝とるしなコレ……。幼女が一升瓶てことばにしたらなんや凄いな」
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